全 情 報

ID番号 03150
事件名 期末給与金等請求事件
いわゆる事件名 カネボウ合繊事件
争点
事案概要  六〇歳定年により退職した者が、定年後の雇用継続期間満了により年末一時金の支給日前に退職した場合でも、右年末一時金について請求権を有するとして請求した事例。
参照法条 労働基準法11条
労働基準法3章
体系項目 賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 支給日在籍制度
裁判年月日 1983年2月25日
裁判所名 山口地
裁判形式 判決
事件番号 昭和57年 (ワ) 165 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1148号7頁/労働判例410号86頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-支給日在籍制度〕
 期末給与が賃金の一種たる性質を有するとしても、それは労務の提供があれば使用者からその対価として必ず支払われる雇用契約上の本来的債務(本来の賃金)とは性質を異にし、雇用契約上予じめその定額の支給が約定されているような場合は格別、一般には、これを支給するかしないか、支給するとしても、その額は予じめ確定していないものであって、それをいついかなる基準のもとに、何人に支給するか等は、別個に当事者間の契約或いは労使間の協約によって定まってくるものというべきである。そして原被告間の関係について、右のような点を労働協約により取決めていることは前示のとおりである。確かに、原告は期末給与の計算期間中就労していたものであり、特別従業員である故に、支給日当日在籍しない一事を以て支給対象者から除外するのは、一面特別従業員に不当な不利益を課する不合理な取扱いとみえないでもないが、他面前記支給対象者についての規定によれば、一般本採用従業員でも、期初に在籍したが支給日当日までに死亡・定年以外の事由により退職した者、期末に在籍したが期初に在籍せず支給日当日にも在籍しなかった者らは、計算期間の全部又は一部就労していたとしても支給対象者とならないのであり、強ち特別従業員のみに不利益な扱いとは云えないし、また前記のような期末給与の特質と、原告の勤務が定年後の雇用継続期間のものであり、その満了による退職であることなどからすれば、かかる退職者に前記のような取扱いの定めがなされたからといって、これを違法なまでに不合理なものとは解し得ない。