全 情 報

ID番号 03188
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 東急車輌製造事件
争点
事案概要  車両の屋根に登っての作業中高圧架線に触れて転落負傷した社外工が元請企業に対して安全配慮義務違反による損害賠償を求めた事例。
参照法条 民法415条
労働基準法2章
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 安全配慮(保護)義務・使用者の責任
裁判年月日 1982年3月16日
裁判所名 横浜地
裁判形式 判決
事件番号 昭和51年 (ワ) 2008 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例383号43頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労働契約-労働契約上の権利義務-安全配慮(保護)義務〕
 前記1、2の事実によれば、原告は下請業者の従業員として元請である被告の現場主任の指示に従って業務に就いたものであり、原告の右業務が、架線に一五〇〇ボルトの高圧電流が通電している検査場内における車輛の天井に設置された通風器の修理、点検作業であったのであるから、被告としては、高圧電流の通じている検査場内での作業に関する安全教育を徹底し、少なくとも、架線に通電中の場合には車輛の屋根上での作業をすることのないよう指導すると共にこれを監視するなどして、労災事故の発生を防止するための万全の措置をとるべき義務があったものというべきところ、かかる点についての配慮を欠き、漫然と通風器の手直し作業を命じたのみであったため、原告が車輛の屋根に上がって作業に就き、本件事故を招くに至ったものと認められる。しかして、被告は、原告との間に直接の雇用契約関係はなくとも(原告本人(第一回)は、本件事故当時、被告との間に直接の雇用契約が存在していたと供述するが、右はたやすく措信できず、他に雇用契約の存在を認めるに足りる証拠はない。)原告を被告が設置し提供した設備及び作業環境のもとで被告の指示によって稼働させていた以上、右設備等から生ずる労働災害を防止し、安全に就労させるべき安全保護義務を負担しているものというべきところ、右のとおり、その義務を怠ったものと認められるから、被告に安全保護義務違反の債務不履行の存したことが明らかである。