全 情 報

ID番号 03217
事件名 冬期一時金差額請求
いわゆる事件名 パン・アメリカン航空事件
争点
事案概要  一時金交渉が支給条件をめぐり決裂した後、会社が最終回答に従って、給与規定および協約の控除規定に基づき一定の減額をしたうえで支払ったケースで、組合員らが右減額は一時金からは控除しない旨の労使の黙示の合意に反するとして減額分を請求した事例。
参照法条 労働基準法3章
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 争議行為・組合活動と賃金請求権
裁判年月日 1981年3月23日
裁判所名 千葉地佐倉支
裁判形式 判決
事件番号 昭和55年 (ワ) 1 
昭和55年 (ワ) 82 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例363号49頁/労経速報1093号15頁
審級関係 控訴審/03171/東京高/昭58.10.26/昭和56年(ネ)805号
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金請求権の発生-争議行為・組合活動と賃金請求権〕
 以上の事実によると、給与規程第一二条及び各労働協約には、五〇%を超える無給欠勤については一定の割合で控除する旨の規定があり、組合活動、ストライキ等で右規定に該当するときには右規定が適用されてきたこと、その反面、昭和三九年冬期から同五四年夏期一時金までの対象期間中に「五〇%以下」の無給欠勤が生じていたが、一切一時金からは控除されておらず、この点につき会社も異議がなかったのであるから、組合、したがって原告らと会社との間には、「五〇%以下」の無給欠勤については一時金から控除しない旨の黙示の合意が成立していたものと解するのを相当とする。
 そうすると、本件欠勤控除規定は、たとえそれが会社にとって合理的なものであっても、右黙示の合意に反するものであるから、原告らの同意がない限り、会社は右規定を一方的に適用することは許されないといわなければならない。そして、右規定を除く会社回答については既に変更の余地がなく、組合、会社双方とも異論がないのであるから、原告らと会社との間には、右部分について合意が成立したものというを妨げず、昭和五五年四月二九日に組合と会社との交渉が決裂した段階で、原告らは会社に対し、右合意に基づく一時金請求権を取得したものと解することができる。