全 情 報

ID番号 03341
事件名 解雇無効確認等請求訴訟事件
いわゆる事件名 東京医科大学事件
争点
事案概要  産科病棟勤務の医師が入院患者たる妊婦に対する陣痛誘発のためのアトニン点滴を指示しながら爾後の患者管理を怠って不用意に外出したため子宮破裂を招いたことを理由として諭旨解雇されたケースでその効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤
裁判年月日 1978年3月15日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和49年 (ワ) 1249 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 タイムズ369号340頁/労経速報976号6頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕
 A患者に対する陣痛誘発のためのアトニン点滴の指示をしたB助手は、当日における被告病院産科病棟における受持医の手不足、同患者の状態等から右点滴を行うこと自体につき消極的であつたにかかわらず、原告の指示並びに点滴開始後における同患者の管理を原告自身行う旨の申出があつたため、アトニン点滴の指示をしたのであつて、原告の右指示並びに申出がなければA患者に対するアトニン点滴はなされなかつたのであり、また陣痛誘発のためアトニン点滴を行う場合、点滴中における患者の管理を怠れば子宮破裂を招来する危険性があるのであるから、右のようにB助手に指示してA患者に対しアトニン点滴を行わせ、かつ右点滴中における同患者の管理を自ら担当すべき旨の申出をした原告としては、当然右点滴中における同患者を管理すべき義務があつたというべきところ、充分な管理もせず、また当直医に対する引つぎもしないまま不用意に外出した結果本件事故を発生せしめたものであつて、原告はその責任を免れないというべきである。そして、被告病院就業規則八四条一一号が職員の懲戒解雇又は諭旨解雇事由として「患者に対し不当な行為があり又は失態を招いたとき」と規定していることは当事者間に争いがなく本件事故の態様は、前記のように被告病院入院中の患者の子宮切断を要する子宮破裂であつて、C証人の証言によれば、被告病院産婦人科においては、同証人が昭和二五年に産婦人科教室に入つて以来本件事故のほかに、本件の場合と原因を異にする一例があつたにすぎないことが認められるのであつて、この事実並びに以上に述べたところを総合して考えると、被告が、原告が前記被告病院就業規則八四条一一号に該当するとの判断に基づいてした本件諭旨解雇の意思表示は相当と認めるべきである。