全 情 報

ID番号 03365
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 電々公社事件
争点
事案概要  成田空港開港阻止闘争に参加し兇器準備集合罪等の罪で逮捕、勾留、起訴された電々公社職員に対する懲戒免職処分の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 信用失墜
裁判年月日 1978年8月10日
裁判所名 仙台地
裁判形式 決定
事件番号 昭和53年 (ヨ) 366 
裁判結果 却下
出典 労働民例集29巻4号638頁/訟務月報24巻10号1941頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-信用失墜〕
 債権者X1は、昭和五三年三月二六日、成田市古込字古込一〇の二、朝日台三叉路付近で多数の者らと共に機動隊員に対して火炎びんや石を投げつけたり鉄パイプをふりまわすなどした集団の一員として、同日午後二時一〇分頃右同所付近で現行犯逮捕され、その時同人は赤ヘルメットをかぶり、エンジ色のヤツケを着用しライターを所持していたこと、債権者X2は、右同日、ほか多数の者と成田空港内にある管理ビルあたりまで進入し、集団で機動隊員らに火炎びんや石を投げつけたり、鉄パイプをふりまわすなどしていた一員として、同日午後一時四三分頃成田市古込字込前一三三付近で現行犯逮捕され、その時同人は、赤ヘルメットをかぶりエンジ色のヤツケを着用しライターを所持していたこと、債権者X3は、右同日、ほか多数の者と成田空港内にある管理ビル付近まで進入し、集団で機動隊員らに火炎ビンや石を投げつけたり鉄パイプをふりまわすなどしていた一員として、応援にかけつけた機動隊員らに追われて逃げる途中、同日午後一時五六分頃成田市古込字込前一二二付近で現行犯逮捕され、その時同人は、赤ヘルメットをかぶり、エンジ色のヤツケを着用し、ライターを所持していたこと、以上の事実が疎明され、また疎乙第一八号証によると、債権者X1およびX2はこれまでひんぱんに他の出勤職員に対して第四インターの機関紙「A」の号外やビラなどを配つていたことが疎明され、右疎明事実にてらすと、反対の疎明がない以上は債権者らが前記懲戒免職処分の理由とされた行為をしたものと推認される。そして反対の疎明はない。
 ところで、債務者たる日本電信電話公社が高度の公共性を有する公法上の法人であつてその廉潔性の保持が社会から要請されていることを考慮すると、債権者らが前記行為を職場外において職務遂行に関係のない行為として日曜日に行なつたものであるとしても、これをもつて前記懲戒免職事由にあたるとしてなした債務者の本件懲戒処分が裁量権の範囲を著しく逸脱したものであるとは解し難い。