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ID番号 03394
事件名 懲戒処分取消請求事件
いわゆる事件名 東京営林局長事件
争点
事案概要  林野庁の職員が賃上げを主たる目的とした二時間余にわたるストライキに参加したことを理由としてなされた戒告処分の効力を争った事例。
参照法条 公共企業体等労働関係法17条1項
国家公務員法82条
国家公務員法96条1項
国家公務員法98条1項
国家公務員法99条
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
裁判年月日 1977年4月27日
裁判所名 甲府地
裁判形式 判決
事件番号 昭和46年 (行ウ) 2 
裁判結果 認容(控訴)
出典 時報862号93頁/訟務月報23巻4号749頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 前記(イ)ないし(ホ)の事情がある以上、被告らが本件争議行為についてとくに単純参加者たる原告らを懲戒処分に付さなければならないと判断した事情について主張立証をしない限り、本件懲戒処分は合理的裁量に基づかない違法なものと判断するほかはない。
 すなわち、前記のように懲戒処分権を発動するかどうか、発動するとしてもいかなる種類の懲戒処分を選択するかは、懲戒権者たる被告らの裁量に委ねられている以上、当初から被告らに対し裁量権行使にあたりどのような事情を考慮したかについての主張立証を求めることは当を得ていないにしても、原告らが、被告らの裁量権の行使が合理性を欠くと一応認めさせるような具体的な事情を主張立証した場合には、被告らにおいて裁量権行使にあたり考慮した事情を挙げて、裁量権行使が合理的であることを主張立証する必要が生ずるといわなければならず、右主張立証をしない以上は、裁量権の行使が合理性を欠くとの推定を受けてもやむをえないと考えられるのである。しかるに、本件において、被告らは具体的にいかなる事情を考慮したうえで原告らに対し本件懲戒処分をしたかについて何らの主張立証もしない。
 (3) そうすると、結局本件懲戒処分は合理的な裁量に基づかず裁量権を逸脱濫用した違法なものというほかはない。