全 情 報

ID番号 03425
事件名 雇用関係存在確認等請求事件
いわゆる事件名 動労機関助士廃止反対闘争事件
争点
事案概要  動労の順法闘争の一還としてなされた貨車入換作業妨害および乗務員の強制連行を理由とする地本支部書記長の懲戒免職処分の効力が争われた事例。
参照法条 日本国有鉄道法31条1項1号
労働組合法1条
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1976年1月22日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和47年 (ワ) 8483 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 時報805号106頁
審級関係 上告審/01878/最高一小/昭56. 4. 9/昭和53年(オ)414号
評釈論文 西迪雄・公務員関係判例研究11号22頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 原告の本件各行為のうち、入換作業妨害は、業務執行中の職制に対する乗務員室に無断乗り込む等しての有形力行使による妨害であり、乗務員室強制連行は、逃れようとする組合員に対する暴力を振うまでしての阻止と組合集会への参加の強制であり、その行為の態様からみて、いずれも被告主張の「著しく不都合な行いのあったとき」という懲戒事由に該当するというべきである。そして、前者については、当時原告において機関車に乗り込みハンドルを動かすまでの行動に出ざるを得なかった必要性、緊急性はなく、職制側において原告ら組合員を挑発する等の状況もなかった。後者については、同一組織に所属している組合員に対するストライキ参加の説得活動の過程で発生したものであるが、前掲青木証言から認定できるように、もともと本件ストライキは、組合員各人がそれぞれ参加するかどうかを自主的に判断し決定するという、いわゆる自主参加方式により行われたものであるから、説得それ自体において通常のストライキの場合に比べておのずから制約があるにもかかわらず、原告は暴力を振うまでして相手方の行動の自由を奪ったものである。したがって、以上いずれの場合においても、原告の行動は、ストライキの場合における正当な説得活動の範囲を逸脱しており、企業秩序の維持確保の面からみて、とうてい許容されないと評されてもやむを得ないといえる。
 次に本件以前の原告の処分歴として、弁論の全趣旨によれば、原告は本件におけると同一の法条に基づき、昭和三九年六月二六日停職一二月、同四一年一〇月一日戒告、同四二年四月一五日停職六月の各懲戒処分を受けたことが、認定できる。
 以上諸般の事情を斟酌すると、本件処分事由のうちストライキ参加による欠務について、その法的評価を下すまでもなく、原告は入換作業妨害と乗務員強制連行の二点において、すでに懲戒免職されてもやむを得ない事由があるというべきである。