全 情 報

ID番号 03481
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 社会保険診療報酬支払基金事件
争点
事案概要  支払基金の職員で組織する組合の組合員が許可を受けずに事務所内に印刷器具を持ち込み組合の日刊紙の印刷を始め、使用者の撤去要求に応じなかったことを理由とする停職および昇給延伸の懲戒処分につき地労委で不当労働行為の救済命令が出されたのを受けて、右被処分者らが使用者を相手どって団結権侵害の不法行為を理由とする損害賠償を請求した事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
労働組合法7条
民法709条
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1975年4月28日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和47年 (ワ) 3954 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 時報786号94頁
審級関係
評釈論文 瀬元美知男・ジュリスト622号167頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 昭和四一年一〇月一五日から同年一二月九日頃までの間に、前記日刊紙の印刷のために、被告の度重なる警告(右原告両名につきそれぞれ計二一回)を受けたにもかかわらず、被告の許可を受けないで自ら大阪基金事務所を使用し、あるいは他の組合員にこれを使用させ、なおこの間前記のとおり原告X1宅に送り届けられた前記印刷器具類を再び右事務所に持ち込み、右印刷を続け、そのため被告としても職場秩序の維持上そのまま放置することができなくなったところから、就業規則の懲戒に関する規定等を適用して、前記のとおり昭和四一年一二月二三日原告X1、同X2に対し停職五日間の前記各懲戒処分および三か月間の昇給延伸措置を行なうに至ったものであることを優に肯認できる。
 ところで、被告の原告X1、同X2に対する右各懲戒処分、昇給延伸措置は、以上認定のようなこれが行なわれるに至った経過に照らし、かつその内容、程度等からみて相当であり、これが重きに失し正当な懲戒権の行使の範囲を逸脱しているものということは到底できないから、これを目して同原告らの団結権を侵害し被告の不法行為責任を生ずべき違法な行為とはたやすく認め難い。