全 情 報

ID番号 03654
事件名 懲戒処分無効確認請求事件
いわゆる事件名 専売山形地本事件
争点
事案概要  専売公社職員が争議行為を行ったことを理由として戒告処分に付されたことに対してその効力を争った事例。
参照法条 公共企業体等労働関係法17条
専売公社法24条1項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1972年11月27日
裁判所名 山形地
裁判形式 判決
事件番号 昭和45年 (ワ) 115 
裁判結果 認容
出典 労働民例集23巻5・6合併号580頁/時報688号43頁/タイムズ286号184頁/訟務月報19巻1号13頁
審級関係 上告審/最高一小/昭56. 4. 9/昭和53年(オ)828号
評釈論文 須田四郎・公企労研究14号96頁/竹下英男・昭47重判解説181頁/中山和久・判例評論172号31頁/長渕満男・季刊労働法87号162頁/片岡昇・労働法律旬報824号14頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 公社の事業もしくは、その職員の業務は、国その他の地方公共団体の財政確保等の面を通じ、間接的に国民生活との結びつきが生ずるものであるから、通常の規模、態様の争議行為によつては、一般的に、直ちに、国民生活に重大な障害をもたらすおそれ(右一、(二)2(2)ロの合理的限定解釈)がなく、かつ公社職員について、本来、右1のごとき事態を招来するに足る規模、性質の争議行為が生起する現実的可能性については右(三)4(3)イロのとおりである。
 3、右2によると、いわゆる三公社五現業のうち公社の事業は、憲法二八条の趣旨にそくして限定的に解釈される公労法一七条一項が適用されない事業であると認めるのが相当である。
 (中略)
 右二のとおり、公社職員に対しては公労法一七条一項は適用されないからこの点において原告らの本件争議行為は公社法二四条一項に該当しないしまた、右第二認定の本件争議行為に至る経過および本件争議行為の目的、態様によれば本件争議行為は、労組法一条一項の目的を達成するためのもので、正当性の限界をこえるものでないから、憲法二八条の保障する争議権の行使にほかならず、したがつて、それは公社就業規則六八条一号に該当せず、この点においても公社法二四条一項に該当しない。
 (二) 右(一)によると、原告らの本件争議行為が、公労法一七条一項、公社法二四条一項、公社就業規則六八条一号に該当するとしてなされた本件処分は、その前提を欠くことに帰するから、いずれも無効であるといわねばならない。