全 情 報

ID番号 03689
事件名 俸級号俸確認等請求事件
いわゆる事件名 三重大学事件
争点
事案概要  国家公務員の昇給については任命権者の裁量行為であるから、俸給の切替えについても昇給が伴い号俸の号数に変動を来たすときは、任命権者の具体的な発令行為が必要とされた事例。
参照法条 一般職の職員の給与等に関する法律8条6項
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権と考課査定・昇給昇格・降格・賃金の減額
裁判年月日 1971年8月7日
裁判所名 津地
裁判形式 判決
事件番号 昭和43年 (行ウ) 4 
裁判結果 (控訴)
出典 訟務月報17巻10号1612頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金請求権と考課査定・昇給昇格・賃金の減額〕
 原告の経歴および昇給歴、原告に対し昭和三五年一〇月一日法律第一五〇号附則2により教育職(一)四等八号俸を給することが可能にあつたことは当事者間に争いがない。
 そこで、昇給、俸給の切替え等についての発令行為の要否を検討するに、文部教官として国立大学に勤務する講師の昇給、俸給の切替え等については一般職の職員の給与に関する法律および人事院規則によつて一般的基準が定立されているわけであるが、昇給については規定(同法第八条第六項)上からも裁量行為であることが明らかであるから発令行為を要するし、俸給の切替えについても、本件の如く昇給が伴い号俸の号数に変動を来たす場合は、その要件の有無を調査、判定する必要があり、従つてこのような場合の切替えはもちろん権限ある者の発令行為をまつてはじめて決定されるものである。一般職の職員の給与に関する法律第七条、俸給の切替え等について(通知)(昭和三五年一二月二二日給実甲第一七六号)人事院規則九-八の第二四条(現行第四五条)をはじめとする同規則の各規定もこの趣旨に出たものと解せられる。
 右のように解すれば、原告に対し昭和三五年一〇月一日に教育職(一)四等級八号俸を給することが可能であつたとしても、現にその発令がなかつたのであるから、同日同号俸になつたことを前提とする原告の本訴第一次的金員支払請求はその余の点を判断するまでもなく理由がなく、棄却するべきものである。