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ID番号 03931
事件名 雇用契約関係存在確認等請求事件
いわゆる事件名 国鉄小牛田駅職員兼職事件
争点
事案概要  旧国鉄職員が、国鉄総裁の兼職承認を受けないまま市町村議会議員に立候補して当選した場合において、国鉄の職員たるの地位を失うか否かが争われた事例。
参照法条 公職選挙法103条1項
日本国有鉄道法20条1号
日本国有鉄道法26条2項
労働基準法7条
体系項目 労基法の基本原則(民事) / 公民権行使 / 公民権行使と休職・解雇
退職 / 失職
裁判年月日 1988年2月25日
裁判所名 仙台地
裁判形式 判決
事件番号 昭和58年 (ワ) 574 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 労働民例集39巻1号112頁/タイムズ683号127頁/労働判例514号54頁
審級関係 控訴審/04050/仙台高/昭63.11.30/昭和63年(ネ)102号
評釈論文
判決理由 〔退職-失職〕
 国鉄法二六条二項の改正の趣旨は、国鉄職員について町村議会議員との兼職を許容しながら市議会議員との兼職を禁止していたそれまでの原則を改めることを目的としたものであり、ただ無条件に兼職を可能とすると国鉄の業務運営上相当でない結果を招来する可能性があることから、国鉄総裁の承認を得た者に限って兼職を認めることとしたものであって、原告ら主張のように右改正の趣旨を兼職承認制度を定めたものと評価することは相当でないし、また後述のとおり、兼職の承認については、国鉄総裁の裁量に委ねられていると解されるから、同条項が解雇の基準を定めたものであるとの主張もその明文の規定に反する解釈であって、採用することができない。
 (中略)
6 右のとおり、国鉄総裁は兼職承認に関する判断において諸般の事情を総合考慮して決することができるものとされるところ、当時における国鉄の厳しい経営状況及び国鉄に対する厳しい批判の中で、国鉄が再生を図るために兼職の一律禁止を含めた緊急措置を取ったことには合理性があるというべきである。
〔労基法の基本原則-公民権行使-公民権行使と休職・解雇〕
〔退職-失職〕
 兼職の一律禁止という緊急措置をとったことに合理性があるのは右に判示したとおりであるから、右不承認措置に違法無効の廉はないというべきであり、仮に違法無効であるとしても、そのことから直ちに承認の効果が生ずるものでもないから、結局、当選の告知を受けたことにより国鉄職員を辞したものとみなされるという効果は、何ら否定されないと解すべきである。