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ID番号 03967
事件名 殉職年金支払請求事件
いわゆる事件名 国鉄職員遺族事件
争点
事案概要  業務により殉職した国鉄職員の遺族が「殉職年金」の支払を請求した事例。
参照法条 労働基準法11条
恩給法75条1項2号
体系項目 賃金(民事) / 退職金 / 死亡退職金
裁判年月日 1988年5月27日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ワ) 7243 
裁判結果 棄却
出典 労働判例519号67頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-退職金-死亡退職金〕
 国鉄においては、昭和三二年九月三〇日、災害補償規則の一部が改正され、殉職年金が創設されるまでは、業務上死亡した職員の遺族に対する補償は国鉄独自では行わずに、恩給法に依っていたこと、しかるに、殉職年金が創設されたことにより、殉職年金の支給を受ける者と恩給法に基づく公務扶助料の支給を受けていた者とが併存することになり、両者の間に不公平が生じることを防ぐために、殉職年金の創設と同時に設けられたのが本件の差額補償制度であることがそれぞれ認められ、差額補償制度制定の趣旨からすると、「その年額」を算定するに際して、遺族加給金と遺族加算金とを除く必要は全くない。
 そうすると、本件付則の解釈として文字に拘泥すれば原告ら主張のような解釈も可能ではあろうが、差額補償を設けた趣旨を考え、公平の観念からすると、これまで国鉄が行なってきた本件付則の解釈は文理解釈からも目的論的解釈のうえからも相当であるというべきである。