全 情 報

ID番号 03988
事件名 不当労働行為救済命令取消請求事件
いわゆる事件名 ナトコペイント(行訴)事件
争点
事案概要  組合役員が命じられた配転、転属命令に応じなかったとしてなされた解雇が不当労働行為であるとして発令された労委の救済命令につき取消訴訟が提起された事例。
参照法条 労働組合法7条1号
労働組合法7条3号
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の濫用
解雇(民事) / 解雇事由 / 業務命令違反
裁判年月日 1988年7月15日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (行ウ) 5 
裁判結果 棄却
出典 タイムズ685号224頁/労働判例524号35頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の濫用〕
〔解雇-解雇事由-業務命令違反〕
 以上認定の本件配転対象者とされたAら六人のX会社労組における地位、役割、実際の活動状況、本件配転によって同人らが当時の職場から離れることによって組合活動に受けるであろう支障、制約、これが同組合に及ぼすであろうと予測される影響、並びにX会社労組が公然化して以降、同組合と原告との間で行われた折衝の経過、態様等を総合すると、本件配転命令は右A、B、C、Dらの組合活動に重大な支障を生じさせ、また、Eの組合活動にも少なからぬ影響を与え、そのためX会社労組は相当の混乱と弱体化を免れないものと認められるとともに、右五名及びFら組合員をその組合加入及び組合活動を理由に不利益に取り扱うことになるものと推認することができ、加えて、Eについては、健康上の理由から回避したいと考えていた交替勤務に就かせることにより、同人に精神的苦痛を与えるものである。従って、原告において、本件配転を実施するについて、X会社労組及び組合員であるAら六人に対して右のような不利益や支障が生じるのもやむを得ないと認めるに足りる程度の必要性と合理性が認められない限り、本件配転は不当労働行為に当たるとの評価を免れないというべきである。また、F、Dに関しては同人らを転出させたあとへ非組合員を配置したことから窺われるように、組合員の範囲をめぐるX会社労組と原告との主張の対立の中で、これによって一方的に組合の見解を無視することになった点において、同様組合に対する支配介入である疑いが濃厚である。