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ID番号 04156
事件名 懲戒処分取消請求事件
いわゆる事件名 山口県教委事件
争点
事案概要  学力テスト反対行動を理由とする停職処分を有効とした原審が認容された事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
地方公務員法29条1項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務妨害
裁判年月日 1984年12月18日
裁判所名 最高三小
裁判形式 判決
事件番号 昭和53年 (行ツ) 1 
裁判結果 棄却
出典 労働判例443号16頁/判例地方自治11号45頁
審級関係 控訴審/01822/広島高/昭52.10. 7/昭和48年(行コ)3号
評釈論文 俵正市・教育委員会月報414号4頁/野川忍・労働判例450号15頁/林修三・時の法令1253号50頁/林修三・時の法令1254号50頁/林修三・時の法令1255号50頁
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務妨害〕
 本件記録によれば、上告人らに対する本件各懲戒処分の処分説明書記載の処分事由は、「昭和三九年六月二三、二四日の両日にわたり実施された同年度全国中学校学力調査にあたり、(ア)担任する三年九組の在籍生徒四六名中、正常に受験したものがきわめて少なかった(上告人X1関係)、(イ)担任する三年六組の在籍生徒四六名中正常に受験したものがまったくなかった(上告人X2関係)、にもかかわらず、適切な措置を講ずることを怠った。あなたはかねて上記学力調査に反対しており、その言動が生徒に強く影響したものと解される。かかる事態が公教育に対する不信と不安の念をかりたてたことは無視できない。およそ教諭は、生徒の教育を掌ることを本務とするものであり、その職務遂行にあたっては、自己の使命を自覚しその職責の遂行に努めなければならないものであるが、上記の結果にいたったのは、その職務上の義務を著しく怠ったことによるものというべきである。」(文中、(ア)、(イ)の部分以外は同文)というものであって、その記載は具体性に欠けるきらいがあるものの、少なくとも、その記載自体から、処分権者である被上告人は、本件各懲戒処分の理由として、上告人らが本件学力調査実施にあたり、担任学級の生徒が正常に受験するよう「適切な措置を講ずることを怠った」こと及び「かねて上記学力調査に反対しており、その言動」において「職務上の義務を著しく怠った」ことを挙げていることが明らかである。そして、本訴において被上告人が上告人らに対する処分事由として追加主張した一連の服務上の義務違反行為は、いずれも本件学力調査実施前又は実施当日における同調査反対目的の行為であるとされているものであり、これらは右処分説明書記載の処分事由と密接な関連関係にあることが認められるものであるから、原審がかかる処分事由の追加主張を許し、その存否、評価を含めて本件各懲戒処分の適否について審理、判断したことは、正当であって、原判決に訴訟手続の違背その他所論の違法はなく、右違法のあることを前提とする所論違憲の主張は失当である。論旨は、採用することができない。