全 情 報

ID番号 04173
事件名 解雇無効確認等請求事件
いわゆる事件名 寿電友社事件
争点
事案概要  無断外出、外泊等を理由として退寮処分とされた者がそれを拒否したとして解雇された事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 業務命令違反
解雇(民事) / 解雇事由 / 寮規則違反
裁判年月日 1970年3月20日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和43年 (ワ) 7375 
裁判結果 一部認容
出典 時報596号87頁/タイムズ246号266頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-業務命令違反〕
〔解雇-解雇事由-寮規則違反〕
 使用者がその被用者を解雇する場合には、一般人を納得させるに足る合理的理由の存在を必要とすると解すべきところ、独身寮における管理規定違反と退寮処分の発令並びに退寮拒否と退寮処分の執行は、原則としての寮の管理運営の範囲内に止めるべきものであって、退寮拒否が単に消極的なものに止まる限り、これを業務命令違反に類するものと把握して解雇その他の事由とすることは許されないと解するのを相当とするから、原告が退寮を拒否したからと云って法的手続その他によって退寮処分の執行をすれば十分であり、それ以上に被告会社が解雇の事由としてこれを取り上げたことは失当であるといわなければならない。なる程、原告は、一月二七日の送別会の席上、被告会社の退寮処分を非難する発言を行ったものであり、その非難が当を得たものでなかったことは、前判示のとおりであり、そのような積極的な言動は、最早や寮の管理運営の範囲外に出たものというべきであり、これをもって解雇等の一事由とすることは許されるべきであるけれども、その原告の会社非難の言動その他の状況からして、この程度をもってしては、未だ解雇を正当とすべき合理的な事由に該当するとは、到底認めることが出来ず、他にこれと云う事由の存在しない本件においては、解雇の意思表示は結局その効力を生じなかったと見るのが相当である。