全 情 報

ID番号 04233
事件名 配転停止仮処分申請事件
いわゆる事件名 グリコ事件
争点
事案概要  製菓会社の東京工場で製造係をしていた者が仙台支店の管理係に転勤を命ぜられたことにつき、思想信条を理由とする差別待遇である等として争った事例。
参照法条 労働基準法2章
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠
裁判年月日 1969年3月8日
裁判所名 東京地
裁判形式 決定
事件番号 昭和44年 (ヨ) 2213 
裁判結果 却下
出典 時報560号86頁
審級関係
評釈論文 岡本敦子・月刊労働問題139号128頁
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令の根拠〕
 労働者の雇入れに際し、その勤務すべき場所および従事すべき職務(仕事の範囲)もしくは職種(仕事の種類)を特に定めなかった場合にあっても、それらを特約した場合と同じく、雇入れ後労働者の職場が定まれば、企業の業務内容および業務組織等に照らして、当然にそれが特定し労働契約の内容となるというべきであって、その後のこれらの変更はいずれの場合も労働契約の内容の変更の問題として捉えられなければならない。
 審尋の全趣旨によれば、会社に職種の定めはないことが認められるが、前記申請人の採用時の経緯、入社後の職歴ならびに疎明により認められる東京工場の業務内容および業務組織よりして、申請人の勤務場所は同工場、職種等は作業労働で広くとも製造部門に特定し、申請人の労働契約の内容となっていたことが認定できる。
 (三) そのように、勤務場所等が特定し、労働契約の内容となっていることは、決して、それに限定され変更の余地がなくなることを意味するものではない。労働者の同意を得れば勤務場所等の変更すなわち配置転換できることはいうまでもなく、そしてまた、必ずしもその都度同意を得なければならないものではなく、予め付与された明示または黙示の包括的同意ないし変更権(形成権)に基づいてこれをなしうることも多言を要しない。