全 情 報

ID番号 04251
事件名 休職処分無効確認等請求事件
いわゆる事件名 学校法人白百合学園事件
争点
事案概要  生徒数減少による経営困難を予想して学校の教員に対してなされた、「学校経営上やむを得ない事由が生じた場合」に準ずる理由があるとして休職期間満了による退職を前提として行われた休職処分の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法89条1項3号
体系項目 休職 / 休職の終了・満了
裁判年月日 1969年6月10日
裁判所名 熊本地八代支
裁判形式 判決
事件番号 昭和43年 (ワ) 54 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集20巻3号562頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔休職-休職の終了・満了〕
 休職処分は、従業員を職務に従事させることが不能であるか若しくは適当でないなどの事由が生じた場合、その障害の継続する期間その従業員の地位を維持させながら職務従事を禁止し、その障害事由が消滅した場合は右従業員を復職させることができる処分であつて、休職事由の消滅は従業員の職場復帰を意味し、休職期間が満了してもそれを自動的な雇傭契約終了の事由とする別段の定めのない限り労働契約は当然に終了しないものであつて、弁論の全趣旨によれば本件処分は以上の性格と異なり、原告両名には就業規則規定の即時解職の事由が存在するところ恩恵的配慮からなされたもので原告両名の職場復帰を前提とするものではなく、右期間内に任意退職しない限り期間満了により原告両名を退職せしめる意思表示と解するのが相当である。
 成立に争いのない乙第二号証(就業規則)によれば、第一九条が休職事由を列挙し、第二一条第二号は休職期間を越え復職が承認されない時は教職員は終任すると定めているので、右第一九条の規定自体は原則として前記の職場復帰を前提とするものと解すべく、本件処分は本来の休職と異なり退職の予告通知としての性格を持つので右第一九条の休職処分規定のみを根拠に有効か否かを判断するのは相当でなく、前記就業規則規定の即時退職事由の存否とも対比して判断すべく被告学園主張のとおり原告両名に右即時退職事由が存在するとすれば、直ちに退職手続をとらず或る期間Aの従業員としての地位を維持せしめ、その間に任意退職を求め、期間満了と共に原告両名を解職せしめるための便宜的方策として本件処分がなされたのであればそれは原告らにとつては何ら不利益はないので許容されるものというべきである。