全 情 報

ID番号 04324
事件名 給与減額分支払請求、反訴請求控訴、給与支払請求控訴事件
いわゆる事件名 東京都教育委員会事件
争点
事案概要  教職員の行った一斉休暇闘争に関連して、無断欠勤として賃金を減額して支給されたことにつき、右減額は労基法二四条一項に違反するとして賃金請求がなされた事例。
参照法条 労働基準法24条1項
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 過払賃金の調整
裁判年月日 1967年3月1日
裁判所名 東京高
裁判形式 判決
事件番号 昭和35年 (ネ) 1019 
裁判結果 棄却
出典 東高民時報18巻3号29頁/タイムズ204号215頁/教職員人事判例5号259頁
審級関係 一審/00957/東京地/昭35. 4.15/昭和33年(行)145号
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金の支払い原則-過払賃金の調整〕
 前記条例第一六条第一項は、「職員が勤務しないときは、その勤務しないことにつき教育委員会の承認のあつた場合を除くほか、その勤務しない一時間につき、第二十条に規定する勤務一時間当りの給与額を減額して給与を支給する。」旨規定しているが、右規定は給与の減額をなし得る場合と、減額の計算方法とを定めたものであつて、減額事由が発生した月の翌月以降の給与から減額することまで特に許容する趣旨を明示していないことは、その文言から明らかである。従つて右規定は、減額事由が発生した当該月の給与から減額をなす場合及び前記判示のとおりその後の月の給与から減額することが例外的に許容される場合に適用されるべきものであつて、控訴人主張のように、減額事由の発生した月と合理的なものとして許される程度に接着した期間内の減額を、一般的に許容した趣旨の規定と解することはできない。本件におけるように減額事由の発生前にその月の給与が支払われている場合にも、原則としてその後到来する減額をなし得べき最初の減額をなし得ると解すべきことは既に判示したとおりであり、従つて同規定は控訴人主張のような趣旨に解釈しなくても、決して不能を強いる規定ではないし、また適用される場合が考えられない死文といえないことも自明である。もちろん控訴人主張のような趣旨に解釈した方が、使用者にとつて便宜であろうことは間違ないが、前掲労働基準法第二四条第一項本文所定の全額払の原則の趣旨を考えれば、同項但書所定の例外の場合は厳格に解釈するのが妥当であるから、控訴人主張のような趣旨であることが規定の文言上明示されていない本件のような場合に、安易に拡張解釈することは慎しむべきである。使用者としてはもしどうしても必要があるならば、当時としては、労働基準法第二四条第一項但書所定の労働者側との協定による適用除外の方法によればよかつたのであつて、かかる方法をとらない使用者に対してまで、前記のような拡張解釈によつてその便宜をはかる必要は存しない。