全 情 報

ID番号 04364
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 箕面神経サナトリウム事件
争点
事案概要  時期を異にして二人の従業員に対する配転命令を拒否したことを理由とする懲戒解雇が不当労働行為か否かが争われた事例。
参照法条 労働組合法7条1号
労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反
裁判年月日 1966年1月14日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和38年 (ヨ) 1680 
昭和40年 (ヨ) 1349 
裁判結果 一部認容,一部棄却
出典 労働民例集17巻1号1頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕
 次に申請人Xに対する本件転勤命令が業務上の必要に基く有効なものとすれば、同人が仮令被申請人に対する不信感が強く、粟津に赴任後解雇されるのでないかとの危惧の念を有していたとしても、被申請人としては判然とこれを否定していた(申請人Xに対する本人訊問の結果)のであるから、右の段階で赴任を拒否することは故なく就業規則第五七条第九号「業務命令に不当に反抗し又は正当な理由なく拒否した時」に該当し、企業秩序維持の見地から懲戒解雇の処分に付されても、已むを得ないものと解せられる。
 申請人等は本件転勤命令は申請人等の同意がないから無効であると主張するので、判断するに箕面、粟津の両病院は共に被申請人の経営に係る企業体ではあるが、独立の法人格を有するものではなく申請人Xの労働関係は同人と被申請人との雇傭契約に基き、箕面の病院勤務の点はその就労場所、換言すれば、雇傭契約の履行場所に過ぎない。もつとも雇傭契約はその給付すべき労務が労働者の人格と切り離せない特殊な関係を有するところから、どこで勤務するかということは別段の合意のない限り、契約の要素を為すものと解するのが相当であるが、本件においては成立に争ない甲第一号証に徴し、業務上の都合上正当な必要がある場合には原則として転勤に応ずる旨の潜在的な合意があつたものと認めるを相当とするから、右主張は理由がない。