全 情 報

ID番号 04387
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 電々公社下関電報局事件
争点
事案概要  職務外の行為により公務執行妨害ならびに傷害被告事件として起訴されたことを理由とする休職処分の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法2章
日本電信電話公社法32条
体系項目 休職 / 起訴休職 / 休職制度の合理性
裁判年月日 1966年9月26日
裁判所名 山口地
裁判形式 判決
事件番号 昭和41年 (ヨ) 16 
裁判結果 認容
出典 労働民例集17巻5号1213頁/訟務月報12巻11号1551頁
審級関係 控訴審/01731/広島高/昭42.11.16/昭和41年(ネ)279号
評釈論文
判決理由 〔休職-起訴休職-休職制度の合理性〕
 休職処分が、事実上被休職者に休職期間中の就業を拒み、ひいてはその生活上に、相当の不利益を与えることが否めない以上、右裁量権の行使に当つては、休職制度の趣旨を逸脱しない相当性の限界を守るべきものであり、その裁量権の範囲には、自ら以上のような客観的制約が存するというべきである。
 ところで、職員が刑事事件で起訴されたことを要件とする休職処分の趣旨、目的は前記のとおり起訴によつて職務に専念できないとみられる間、暫定的な身分上の措置を採る必要性および起訴にかゝる事実の未確定の間、その職員をその侭職務にとどまらせることが職場秩序上好ましくないとの配慮にあると解せられる以上起訴にかゝる事実が軽微であつてその事実が確定的に認められても重い懲戒処分に値しないため懲戒処分決定前に右のような配慮を特に必要としない場合には、刑事事件によつて起訴されたからとて一律形式的に職員を休職処分に付することは制度の趣旨にもとるものであるから、その旨注意的に、労働協約上明確にしたのが協約一条但書の趣意であると解せられる。従つて同条項にいわゆる事案軽微にして情状特に軽いものという意味は、単純に社会観念ないし公訴事実に科せらるべき法定刑の軽重によつて解すべきものではなく、前記のような休職処分の本質ならびにその必要性に則し、判断するのが相当であつて、このような客観的基準に照らし、明らかに右例外条項に該当するとみられる事案について休職処分に付されたときは、右処分は裁量権の濫用として無効というべきものである。