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ID番号 04507
事件名 不当労働行為申立却下決定取消等請求事件
いわゆる事件名 東京芝浦電気事件
争点
事案概要  被用者と会社の間において、被用者からの退職申出と会社からの退職金支払いにより、従来の解雇に関する争いをやめる旨の合意が成立したとして、労働委員会のなした却下および棄却処分を維持した事例。
参照法条 労働組合法7条1号
労働基準法89条1項3号
労働基準法20条
体系項目 解雇(民事) / 解雇の承認・失効
裁判年月日 1952年7月29日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和25年 (行) 62 
昭和25年 (行) 72 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集3巻3号253頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇の承認・失効〕
 原告等が右連合会又はその傘下組合の組合員であることは前に述べたとおりであり、その後右訴外会社に対し前記協定に基き、所定の希望退職の申出をなし、これに対する退職金を受領したことは当事者間に争のないところである。一般に解雇の意思表示を受けた労働者が使用者に対し進んで退職を申出で、退職金を受領した場合は特段の事情のない限り当該解雇について争をやめる旨同意したものと推認せられるのであるが、その際右被解雇者がなお解雇の不当を争う旨の留保を附して形式的に右手続をなし、使用者も右留保を承認した場合は、その労働者が、解雇の当否を争い、労働委員会等にその救済を求める権利は未だ失われないことはもちろんである。しかしながら、本件においては、右に認定したところによつて明かなように、会社が前記協定締結に際し、これに基く原告等の退職申出につき予め右のような留保を承認していたものと認めることはできない。また原告等が退職金を受領した当時労働委員会に提訴中であつたことは事実であるが、前記のような協定の趣旨やその後の経過に照しても、それだけの事実から直ちに原告等が会社に対し今後も解雇に対する抗争を続ける旨留保したことにはならない。その他には原告等が右退職申出に当り前記のような趣旨の留保をしたことを証する証拠もない。従つて原告等と右会社との間には、右退職申出及びこれに応ずる退職金支払により、両者間に従来存在した解雇に関する争をやめる旨の合意が成立したものと解さねばならない。
 そして被告委員会の本件各処分はいずれも原告等と会社間の右合意を理由とし、それにより原告等が解雇の不当を主張してその救済を求める権利及び利益を失つたものとして前記の処分をしたものであるから、被告委員会の本件各処分はこの点につき違法がないものというべきである。