全 情 報

ID番号 04588
事件名 解雇無効確認等請求事件
いわゆる事件名 尼崎製鉄事件
争点
事案概要  企業が再建案を提示したのに対し組合がこれに反対して争議中に整理解雇(第一次解雇)された労働者がその効力を争ったのに対し、会社が残り全員を解雇し(第二次解雇)、右第二次解雇にはさきに整理解雇された者に対する予備的解雇の意思表示が含まれていると主張した事例。
参照法条 労働基準法20条
労働組合法7条1号
体系項目 解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇の要件
解雇(民事) / 解雇と争訟・付調停
裁判年月日 1962年4月26日
裁判所名 神戸地
裁判形式 判決
事件番号 昭和32年 (ワ) 682 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集13巻2号538頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-整理解雇-整理解雇の要件〕
〔解雇-解雇と争訟〕
 先ず被告はこの点につき経営不振による工場閉鎖のため全従業員を解雇した旨主張しているので、この点について判断するに、その方式及び趣旨並に証人Aの証言により真正に成立したものと認められる乙第一一号証、証人Aの証言により真正に成立したものと認められる乙第一二号証、証人Bの証言により真正に成立したものと認められる乙第一五号証、並びに証人C、同A(第一、二回)同Bの各証言に弁論の全趣旨を綜合すれば、朝鮮戦争の納つて来た昭和二七年下期頃からの鉄鋼界の一般的な不況等のため、Y会社もその経理が悪くなる一方で、同二九年に入つてから銀行融資等が思うように行かず経営に行詰りを来たしたので、同年三月二九日Y会社組合に対し従業員の給料を一年間一五%引下げる等の企業再建案を提示し、双方協議会で協議したが同年四月一九日組合はこれを拒絶したこと、そこで会社は同組合に人員整理による縮小生産計画案を提示したが、これ又組合の容れるところとならなかつたので、同会社は同年五月四日附書面で原告等を含む従業員三八一名に対し同月六日限り解雇する旨通告したこと、それより先、組合は同年四月一一日部分ストに入り同月二二日全面ストに突入し、以後右第一次解雇をめぐり労資対立を続けていたが同年五月末会社が不渡手形を出すに及び、遂に同組合は同年六月二七日全員投票によつて組合として右第一次解雇を承認するに至つたこと、しかし不渡手形を出した以上会社としてはもはや操業再開の余地は全くなしとして翌七月二日組合に対し同月五日附で従業員全員を解雇する旨通告し、又組合から斡旋申請を受けていた兵庫県地方労働委員会も同日全従業員解雇もやむをえないとの斡旋案を提示してきたので、同組合は同月四日全員投票で全員解雇を受諾し、翌五日会社は各従業員に対し文書で解雇通告をしたこと、尚右第二次被解雇者の中から会社は一五八名を翌六日保安要員として再雇傭し、工場保全等にあたらせたが、争議中の保安要員は組合との協定により組合員二〇五名、その外非組合員約六〇名もいたこと、そして同年七月一〇日会社は内整理のため債権者集会をもち、同年一一月二〇日債務返還内容等の決議をするまでに至つたが、昭和三〇年に入つてから鉄鋼界が一転して好況となり、D銀行とE株式会社の話合で、同株式会社の系列下に入るということで、同年四月五日に操業が再開されたことがそれぞれ認められ、他にこれらの認定を覆すに足る証拠はない。
 右認定事実によれば、右第二次解雇は被告の主張するようにY会社の経営行詰りから操業不可能となり工場閉鎖のやむなきに至つたため当時在籍した全従業員に対しなされたものというべく、前記保安要員の再雇傭及びその後の同会社の操業再開の各事情も前記認定のとおりである以上、右二点のみをもつてしては第二次の全員解雇が組合弾圧のためになされた不当労働行為で無効なものであるとすることはできず、他に同解雇を無効にするに足る事実は主張、立証されていないので、結局第二次解雇は有効になされたものといわざるをえない。