全 情 報

ID番号 04628
事件名 解雇無効確認等請求事件
いわゆる事件名 日本電信電話公社事件
争点
事案概要  平和的説得の限界をこえたピケを理由とする組合幹部に対する懲戒免職処分が有効とされた事例。
参照法条 労働基準法79条1項9号
労働組合法7条
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1963年5月20日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 判決
事件番号 昭和35年 (ワ) 1304 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集14巻3号777頁/訟務月報9巻8号965頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 一一月一八日、一九日、二七日昼過ぎ及び夕刻局側が電報を使送しようとしたのに対して原告三名等組合員のとつた行動は使送を実力をもつて阻止したものというべきである。(但し原告X1は同月一九日の使送阻止につき実行行為をなしたことの証拠はない)原告等は使送阻止は正当な労働組合活動として認められたピケツテイングであると主張する。しかしながら電報が極度の公共性を有し、しかもその通信内容からみて迅速な処理が必要であつて一刻もその停滞を放置しておくことは許容されないのに鑑みれば、組合の闘争手段たる標準作業実施法を守る運動によつて電報が停滞したのに対処して局側が停滞した電報を能う限り速かに相手局に送り届ける手段として、一先ず業務の正常に行われている他局へ人手によつて電報を使送した後同局から相手局へ通信しようとするのは局側において当然執るべき方法であり、その業務執行行為である。かくの如き電報の使送をなさんとする者に対して組合員が組合の闘争手段たる標準作業実施方法を守る運動に協力を求めて使送の実行を中止することを平和的に説得することはこれを違法とするに当らないが、この限界を越えて実力をもつて阻止することは許されない。一一月一八日には原告X1、X2等組合員十数名は通信課長等が使送をなさんとするのを取り囲み、一一月一九日原告X2及びX3等組合員十数名は使送電報を持つて出ようとする通信課長等から電報の束を奪つたり、人垣を作つて押し返し、又一一月二七日二回にわたり原告X1、X2等多数の組合員が使送をなさんとする局長等を人垣を作つて使送を阻止したことはいずれも実力をもつて使送を妨害したものであつて違法と言わねばならない。又右使送阻止行為は地方本部及び支部の指示指導によつて行われたものであるから原告等に責任がない旨主張するが、右の如き指示指導があつたとしても原告等が違法な行為をした行為者としての責任を阻却するものではない。従つて原告等が右使送妨害行為を積極的に遂行したことは就業規則第五九条第八号、第一九号に違反し、しかもその情状は極めて重いといわなければならない。