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ID番号 04748
事件名 懲戒処分無効確認等請求事件
いわゆる事件名 京都魚市場事件
争点
事案概要  水産物卸売を業とする会社の営業管理部長であった者が、B株式会社の取締役に就任する旨の兼業承認の書面に不実の記載があったとして人事部長付部長とする旨の格下げ懲戒処分を受けその効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
裁判年月日 1989年4月26日
裁判所名 京都地
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ワ) 1077 
裁判結果 一部認容(控訴後和解)
出典 タイムズ710号171頁/労働判例543号70頁/労経速報1368号18頁
審級関係
評釈論文 新堀亮一・平成元年度主要民事判例解説〔判例タイムズ臨時増刊735〕408~409頁1990年10月
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務上の不正行為〕
 被告の原告に対する本件格下処分は、前記四(五)(六)部分に記載したように、A社長において原告に任意退職を勧めたものの、これに応じなかったことを契機としてなされたものであるうえ、B株式会社の設立には本件格下処分当時の代表取締役であったC、懲戒委員会の構成員Dが発起人として関与していること、また、懲戒委員会E、Fらは右C、DらがB株式会社設立に発起人として関与していることを委員であった際知らないままに原告を格下処分相当との意見を被告に上申していること、また、本件格下処分の理由となった事実は、約四年前に一旦収拾された事由を理由とするものであること、処分当時の代表取締役であったCは、自分がB株式会社の発起人となっていることがわかっていれば原告を格下処分になさなかったし、本件処分は撤回しなければならないとも述べていること、等の各事実を考え合わせると、本件格下処分は、懲戒処分権の濫用として無効であるといわざるをえない。