全 情 報

ID番号 04749
事件名 地位保全賃金仮払い仮処分申請事件
いわゆる事件名 国鉄鳥栖保線区事件
争点
事案概要  鳥栖保線区の土木技術管理係の職にあった国鉄職員(国労組合員)が区長等(管理職)に対し暴行を働いたこと等を理由として懲戒免職処分とされた事例。
参照法条 日本国有鉄道法31条1項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 暴力・暴行・暴言
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒権の濫用
裁判年月日 1989年4月28日
裁判所名 佐賀地
裁判形式 判決
事件番号 昭和58年 (ヨ) 49 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例539号30頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-暴力・暴行・暴言〕
 右に認定した申請人の各行為は、被申請人の職場の秩序を乱すものであって、職員として職場の秩序を保持すべき職務上の義務に違反したものとして、国鉄法三一条一項二号所定の懲戒事由に該当するというべきである。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒権の濫用〕
 国鉄法三一条一項に定められた懲戒処分は、免職、停職、減給、戒告の四種類であるが、このうち、具体的にどの処分を選択するかの基準を定めた規定はなく、懲戒権者の裁量に委ねられていると解するのが相当である。もっとも、懲戒処分のうち免職処分は、他の処分と異なり、職員の地位を失わせるという重大な結果を招来するものであるから、免職処分の選択に当っては、他の処分の選択に比較して特に慎重な配慮を要し、懲戒事由に該当する行為の動機、態様、結果、当該職員の行為前後の態度、処分歴、社会的環境、選択する処分の及ぼす影響等諸般の事情に照らし、免職処分が当該行為との対比において甚だしく均衡を失する等社会通念に照らして合理性を欠くものである場合は、右免職処分は、裁量の範囲を超え、懲戒権の濫用に該るものとして効力を有しないというべきである。