全 情 報

ID番号 04877
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 戸根無線事件
争点
事案概要  使用者により解雇された者が、当該解雇を使用者が組合との間で締結した解雇協議約款に違反する無効なものであるとして地位保全、賃金仮払の仮処分を申請した事例。
参照法条 労働組合法16条
労働基準法2章
体系項目 解雇(民事) / 解雇手続 / 同意・協議条項
裁判年月日 1950年2月16日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 昭和25年 (ヨ) 120 
裁判結果 認容
出典 労働民例集1巻1号35頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇手続-同意・協議条項〕
 被申請会社は昭和二十四年十月五日組合との団体交渉の席上企業合理化のため百二十人乃至百三十人の過剰人員整理の意図を明かにし組合は整理必要性の具体的根拠被整理者に対する保障案等の提示を求め翌六日も続行したところ七日に至り被申請会社は同日午前十時より人員整理を議題とする団体交渉の申入をなし組合の八、九月分の遅配賃金の問題をも議題とし十月十日午前十時より交渉に応ずる旨の回答に対して同日重ねて時日の遷延は出来ぬとして八日午前九時より交渉する旨且双方の交渉人員を五人に限定する旨回答したところ被申請会社は同月八日に会社の申入の条件が容れられなかつたとして交渉取止方を通告し組合と協議決定することなく同日附を以て申請人等を解雇した。協約第五条第三号によれば会社は会社組合双方協議決定した者以外は解雇出来ない旨規定せられている。右は会社が常に一方的に解雇出来ない趣旨でないことは前記の通りであるが十月七日附組合員全員で交渉したい旨の組合の回答に対しては交渉人員を五人に制限しなければならない理由を具体的に説明しそれが客観的に妥当性があるに拘らず組合が自己の意見に固執して譲らないときにはじめて組合は拒絶権を濫用するものとして会社は単独で解雇し得るものと謂い得る。従つて本件に於ては会社は組合に充分協議するの機会を与えたものとは云い難いから会社組合双方協議決定することなくしてなした昭和二十四年十月八日附の解雇は協約の規範に反するものとして無効といわねばならない。