全 情 報

ID番号 04892
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 東宝事件
争点
事案概要  企業整備を理由にして解雇された者が、右解雇を不当として地位保全の仮処分を申請した事例。
参照法条 労働基準法89条1項3号
労働組合法7条1号
労働組合法16条
体系項目 解雇(民事) / 解雇手続 / 同意・協議条項
解雇(民事) / 整理解雇 / 整理解雇基準・被解雇者選定の合理性
裁判年月日 1950年7月15日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 昭和25年 (ヨ) 945 
裁判結果 却下
出典 労働民例集1巻4号586頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇手続-同意・協議条項〕
 (一) 労働組合の使用者に対し団体交渉を求める権利と使用者のこれに応ずべき義務とは労働組合法の認めるところであるけれども、解雇に際して組合の要求する程度の団体交渉が行われなかつたとしても、特に労働協約等においてそのことを解雇の要件としていない限り、右は解雇を無効にするものではないのであるが、そのような要件を定めた労働協約等の存在は申請人等の主張疏明しないところである。
〔解雇-整理解雇-整理解雇基準〕
 (二) 使用者が予め解雇の基準を労働組合との協定によつて労働協約のうちに定めたり、或は就業規則中に規定した場合には、右基準に該当することは解雇の要件をなし、これに違反して行われた解雇を無効ならしめる場合があるというべきであるけれども、使用者が企業整備に際して発表する企業再建整備計画の説明書中に掲げる人員整理基準の如きは、使用者がその行おうとする人員整理のできる丈け公正なことを担保するとともに、整理方針を従業員ならびに第三者に説明するために記載するものであつて、未だこれを以て使用者を拘束する解雇の要件をなすものとは考へられず、従つて仮に被解雇者中右基準に該当しない者があつたとしても、そのこと丈けでは、解雇を無効にするものとはいい得ない。 以上申請人等の本件解雇を無効とする主張は凡て採容するに足らないから、申請人等の申請を理由なきものとして却下することとし、申請費用の負担について民事訴訟法第八十九条第九十五条を適用して主文の通り決定する。