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ID番号 04903
事件名 解雇無効確認等請求事件
いわゆる事件名 東京都個人タクシー協同組合事件
争点
事案概要  東京都個人タクシー協同組合の女子経理事務員が不明金の着服、経理処理等の過誤等を理由に解雇され、その効力を争った事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
民法1条3項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務上の不正行為
裁判年月日 1990年5月15日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和59年 (ワ) 3611 
裁判結果 一部認容・棄却
出典 労働判例562号9頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-風紀紊乱〕
 四 以上認定の事実に基づいて本件解雇の効力について判断するに、本件解雇の事由として問題になりうるのは本件不明金が発生したことのみであるが、原告が本件不明金を着服したと認めるに足りる証拠はなく車検ローン返済金について現金出納帳が存在しなかったことなどの被告の現金管理体制の不備もあって本件不明金発生の原因は不明であること、本件不明金は、昭和五七年度には組合員の新規加入に関する業務が増大し、さらにコンピューターの導入に伴う業務が加わるという中で、昭和五七年一〇月には経理部の職員が一名減員になるという原告の業務過多の状況のもとで発生したものであること、被告では過去において経理処理上の過誤が発生した場合には出資金額から共済積立金への振替額を正規の額より増額したりLPG手数料収入を過少に計上したりしてつじつまあわせの処理を行ってきており、その際には関係者の処分は全く行われていないこと、原告は昭和四九年二月に被告に就職して以降遅刻が若干多かったもののその勤務態度に特に問題があったとはいえないことなどの事情を考慮すれば、本件不明金の発生を理由として原告を解雇に処することは過重、過酷な処分であるといわざるをえず、本件解雇は解雇権を濫用したものであって無効であるというべきである。