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ID番号 04956
事件名 労働者災害補償保険金給付請求事件
いわゆる事件名 正木土建日雇労働者事件
争点
事案概要  土建会社に日雇人夫として雇用されていた夫の死亡につき、その妻が右死亡を業務上であるとして労災保険金を請求した事例。
参照法条 労働者災害補償保険法35条(旧)
労働者災害補償保険法40条(旧)
体系項目 労災補償・労災保険 / 審査請求・行政訴訟 / 審査請求との関係、国家賠償法
裁判年月日 1951年9月7日
裁判所名 名古屋地
裁判形式 判決
事件番号 昭和25年 (ワ) 1272 
裁判結果 却下
出典 労働民例集2巻4号509頁
審級関係 上告審/04966/二小/昭29.11.26/昭和27年(オ)697号
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-審査請求・行政訴訟-審査請求との関係、国家賠償法〕
 労働者災害補償保険法による災害補償保険は労働者の業務上の事由による疾病死亡等に対して迅速且公正な保護を与え併せて労働者の福祉に必要な施設をすることを目的とし(同法第一条)之により国の労働力の維持増進を計ろうとの社会政策的の考慮から、此の種保険を一般の営利保険若は相互保険に委せて置くのを適当でないとして政府自ら保険者となり相当広範囲の業種を定めて強制的に保険関係を成立せしめ、政府の機関である労働基準監督局長をして其の事業を担当させ(同規則第二条)ているものであつて、右加入事業の労働者の業務上の死亡等の保険事故が発生したとき保険給付を受けようとするものは、所定の請求書を同署長に提出し右請求を受けた監督署長は七日以内に請求者に対し、支給に関する通知書を発送せねばならぬこととなつて居り、(同規則第十条、第十三条)右決定に異議のある請求者は同法第三十五条により保険審査官の再審査を求め更に其の決定処分にも不服のあるものは裁判所に訴訟を提起して右行政処分の取消変更を求め得ることを定められている。従つてたとえ「業務上」の死亡疾病等の事故が発生したときも単に抽象的に請求権が発生したに止り、現実保険給付を受けるに付前記手続により行政機関の給付決定を受け(前記請求手続の最終段階に於ても請求が排斥されたときは裁判所で其の取消の判決を受けることは前記の通りであるが、結局此の場合も行政庁の給付決定を得ねばならぬ)て始めて具体的な保険金給付請求の権利を取得することになるものと解さねばならぬ。