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ID番号 05134
事件名 損害賠償請求控訴事件
いわゆる事件名 国鉄・旭川トラック事件
争点
事案概要  作業中に生じた貨車による激突により死亡した労働者の遺族が、国鉄およびトラック会社を相手として損害賠償を請求した事例。
参照法条 労働者災害補償保険法12条1項
労働基準法84条2項
体系項目 労災補償・労災保険 / 損害賠償等との関係 / 労災保険と損害賠償
裁判年月日 1971年1月18日
裁判所名 札幌高
裁判形式 判決
事件番号 昭和45年 (ネ) 178 
昭和45年 (ネ) 194 
裁判結果 変更(確定)
出典 時報624号44頁
審級関係 一審/札幌地小樽支/昭45. 5.19/昭和43年(ワ)275号
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-損害賠償等との関係-労災保険と損害賠償〕
 《証拠略》によると、被控訴人Y1が昭和四四年度以降労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金を受給している事実が認められる。控訴人国鉄は、被控訴人Y2、同Y3、同Y4、同Y5も右年金を受給している旨主張するが、同法第一六条の二、同条の三、同条の四によると、本件の場合における右年金の受給権者、受給資格者のうち配偶者として最先順位にある被控訴人Y1ひとりであって、その余の右被控訴人らは、一八歳未満である限り、受給資格者ではあるが支給を停止され、ただ右Y1に支給さるべき年金額の算定の基礎となる遺族の数に算入される地位を有するにすぎないことが明らかであるから、右主張は採用できない。なお、控訴人国鉄の右主張に対し、被控訴人らはこれを認める旨自白しているが、右自白は、年金の受給権の有無についての権利関係に関する陳述であって講学上の権利自白に属し、裁判所を拘束するものではないと解する。しかして右年金の額が昭和四四年度は年額二〇万五、三一二円、昭和四五年度以降は年額二三万六、三一九円であることは、控訴人国鉄と被控訴人Y1との間において争いがない。このように、不法行為によって死亡した者の遺族が労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金を受給する場合には、衡平の原則に照らし、右年金の現在価を同人が相続した死亡者の逸失利益の損害賠償請求権の額から控除するのを相当とする。