全 情 報

ID番号 05418
事件名 地位保全仮処分申請事件
いわゆる事件名 田原製作所事件
争点
事案概要  生産阻害行為を理由とする解雇につき、不当労働行為にあたり無効とされた事例。
参照法条 労働基準法2章
労働組合法7条
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 業務妨害
裁判年月日 1965年7月21日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 昭和37年 (ヨ) 2128 
裁判結果 申請一部認容,一部却下
出典 タイムズ181号182頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-業務妨害〕
 そこで、本件解雇の効力について考えるに、会社は、申請人らの、解雇理由は、共同謀議による業務阻害行為であると主張するが、右謀議の点については、十分な疎明がなく、他に格別の事情が認められない以上、申請人らの前認定の作業上のミス行為は、過失によるものと認めるのが相当であり、右行為についてなんらかの懲戒処分に値するとしても、申請人ら全員について各行為の軽重を問わずにひとしく懲戒解雇処分をもつてのぞむことは、ゆきすぎの感を免れない。
 加うるに
 (一) 前記のとおり長期ストライキの際X1を除く申請人らが些細なことで解雇されたことがあること。
 (二) 申請人X2本人尋問の結果によれば、
 (イ)昭和三六年春の賃上要求に関し申請人らの第一組合が職場討議を行つている最中に会社重役室付のAがX2を呼んで組合があくまで上部団体たる全国金属の基本方針に従つて要求するのであれば、組合を壊滅させてやる、これは社長の意向であると申向けたこと、(ロ)第一組合の申請人らのいわゆるX2執行部はあくまで第二組合を自己の組合に吸収することによつて組合の一本化を図る考えであつたが、第二組合執行部は各組合はそれぞれ上部団体を脱退して新組合を結成する考えを有し、会社側もこれに同調しており、申請人らは会社側から余り好感を持たれていなかつたことが認められること、(ハ)申請人らがともに前記のとおりの組合歴を有し、かつ活発な組合活動を行つていたこと等を考慮すれば、本件解雇は、会社が申請人らの組合活動を嫌悪して同人らを企業外に排除する目的でなされたものであり、申請人らが謀議に基づき生産阻害行為を実行したというのは単なる口実にすぎないものと認めるのが相当であるから、本件解雇はいずれも労働組合法第七条第一号の不当労働行為として無効であると言わなければならない。