全 情 報

ID番号 05436
事件名 仮処分申請事件
いわゆる事件名 青心会事件
争点
事案概要  病院の受付、玄関等へのビラ貼りを企画指揮したことを理由とする懲戒解雇が有効とされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
裁判年月日 1965年12月25日
裁判所名 福岡地
裁判形式 判決
事件番号 昭和38年 (ヨ) 425 
裁判結果 申請却下
出典 労働民例集16巻6号1179頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 以上一、二の検討の結果に徴し本件解雇の適否について判断する。
 被申請人が懲戒事由に該当すると主張する多数の事実中、この点が否定される事実は相当数にのぼる(上司や他の従業員に対する不都合な諸行為中(一)、(三)ないし(一〇)、(一三)の各事実。なお、(二)の事実はその存在自体疎明がない)。しかし、これらのうち(二)の事実を除くその余の事実は、懲戒事由該当性は否定されるけれども被申請人主張の事実自体はほぼその疎明があり、これらは、前にも触れたように、申請人が強烈な自我を堅持し上司その他の同僚との間に折合が悪く協調性柔軟性を欠く性格を有することを示すものであり、これが患者に対するとき職務に誠実でない懲戒事由該当の幾多の事実(患者に対する不都合な諸行為)として顕現したものと推認される。しかして、被申請人としては、申請人に前記経歴詐称行為がなければ申請人の右性格等に関する認識を誤ることなく、看護婦として採用しなかつたであろうことを推認するに難くない。してみれば、経歴詐称の事実、患者に対する不都合な諸行為、出勤正常でない行為、びら貼り行為等先に認定判断した諸事由を総合して検討するとき、本件解雇が懲戒の程度を逸脱したものとか、解雇権の濫用であるとすることは出来ない。
 されば、本件解雇は就業規則の解釈、適用を誤つてなされた無効のものであるとか、あるいは解雇権を濫用した無効のものであるとの申請人の主張は採用出来ない。