全 情 報

ID番号 05648
事件名 労災補償決定取消請求事件
いわゆる事件名 三重労災補償審査会事件
争点
事案概要  トロッコ運搬中に災害をこうむった者がその残存障害について労基署長のした等級決定を不服として争った事例。
参照法条 労働基準法77条
労働基準法施行規則別表第2
体系項目 労災補償・労災保険 / 補償内容・保険給付 / 障害補償(給付)
裁判年月日 1952年12月17日
裁判所名 津地
裁判形式 判決
事件番号 昭和27年 (行) 1 
裁判結果 棄却
出典 労働民例集3巻6号598頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-補償内容・保険給付-障害補償(給付)〕
 原告が昭和二十五年三月十日三重県尾鷲町土木出張所の工事現場である北牟婁郡二郷萩原川堤防改修工事において土工として作業中業務上災害事故により左胸部に負傷しA病院、B整復師及びC医師等の診断治療を受けたこと、その後同年十一月十三日頃原告は右B整復師及びC医師の障害認定証明書を得て松阪労働基準監督署に対し障害補償保険金の給付請求をし同監督署は昭和二十六年一月頃原告の右障害を労働者災害補償保険法施行規則に基き同規則別表第一の身体障害等級第十四級九号に該当すると決定しその旨原告に通知したこと、原告は右決定を不服として三重労働基準局保険審査官に異議を申立たが同審査官は原告の申立を認めない旨を決定したこと、原告は更に昭和二十六年七月八日右審査官の決定を不服として被告審査会に対し審査の請求を申立て被告審査会は同年十月十五日原告の身体障害を前示別表第十二級十二号に該当する旨決定したことはいずれも当事者間に争いがない。〔中略〕
 原告の右障害は左胸部第七、第九肋骨の骨折であるが該両骨折は既に全く癒合し仮骨稍過剰に形成され唯第九肋骨推関部より約五糎の箇所に陳旧性骨折の像を認めるのみで第七肋骨軟骨移行部には変化がなく脊髄胸腹部の内臓にも何等器質的変化がみられず前示左胸部の疼痛は第九肋骨々折部過剰仮骨による肋間神経の圧迫による疼痛であることを認定することができる。尤も原告は右疼痛は胸腹部内臓の機能の器質的変化によるものであると主張し、前顕甲第一号証の三、六、七及び乙第十号証の各記載の一部にはこれに吻合すが如き柔道整復師B及び医師Cの診療所見がみられるが右各号証及び成立に争いがない乙第三乃至五、十、十一号証の一部に証人B、Cの各証言を綜合すると柔道整復師は元来内臓の諸疾患については診療する資格がないのであり、B整復師の前示診断所見も専ら原告が当初診療を受けたA病院D医師の診断に基く単なる推論的見解にすぎずC医師においても何等精密な検査に基かずして原告の申出とB整復師の意見に信頼して原告の障害に対するB整復師の証明に同意したまでであるのみならずその基礎をなした右D医師の診断には、原告の障害は唯胸部挫傷で疼痛を訴えるのみであつてレントゲン線及びその他の理学的検査によるも胸腹部の内臓に何等の器質的変化もみられなかつたことが明かであり甲第一号証の二及び十一も単に原告の審査請求に関する意見の主張であつてこれはいずれも前示B整復師の所見に基くものであるからこれらの証拠のみによつてはいまだ原告の右主張を採用するわけにはいかない。そうすると原告の前示障害は局部に頑固な神経症状を残すものとして正に労働者災害補償保険法施行規則別表第一身体障害第十二級第十二号に該当するものというべきであつて被告審査会のした本件決定には何等不当違法な点はないものといわなければならない。