全 情 報

ID番号 05737
事件名 懲戒処分取消等請求控訴事件
いわゆる事件名 全福岡郵政労組事件
争点
事案概要  郵政省の業務移管に反対して行なわれた業務命令拒否が「争議行為」にあたるとしてなされた懲戒処分の効力が争われた事例。
参照法条 労働基準法39条4項
公共企業体等労働関係法17条
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 違法争議行為・組合活動
年休(民事) / 年休の自由利用(利用目的) / 一斉休暇闘争・スト参加
裁判年月日 1990年12月19日
裁判所名 福岡高
裁判形式 判決
事件番号 昭和63年 (行コ) 5 
裁判結果 棄却
出典 労働判例579号10頁
審級関係 一審/03939/福岡地/昭63. 3. 8/昭和56年(行ウ)6号
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-違法争議行為・組合活動〕
 当裁判所も、控訴人らの本訴請求はいずれも失当として棄却すべきものと判断するもので、その理由は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決の理由説示と同一であるから、これを引用する。
〔年休-年休の自由利用(利用目的)-一斉休暇闘争・スト参加〕
 当審における控訴人X1本人尋問の結果によれば、同控訴人は、一二月一二日午前中遅刻した二時間につき年次有給休暇の請求をしたものであるが、出勤後直ちに、休憩室にたむろして当局の要請する勤務に就いていなかった組合員らと合流し、争議行為に加わったことが認められ、控訴人X2、同X3についても、それぞれ四時間ずつの年次有給休暇を請求した当日、いずれも本件の争議行為に加わってその日の勤務時間のすべてを欠務していることは、前記のとおり当事者間に争いがないところである。
 なお、成立に争いのない(証拠略)、ならびに原審における控訴人X4、同X5本人尋問の結果によれば、同控訴人らに対し、時季変更権が行使されたことが認められるところ、当時、年末の繁忙期間であって、平常時よりも要員配置を増やす等特別な対策によって業務の正常運行を確保しなければならない特別な時期であったうえ、全福郵労の争議行為も行われていた状況であったことは、前記認定のとおりであり、所属長が同控訴人らに請求日全日の有給休暇を与えることが業務の正常な運営を妨げる場合に該当するということができるから、同控訴人らの年次有給休暇の請求が、争議行為には加わらない意思のもとに、争議行為と無関係になされたものであるとしても、当局の時季変更権の行使は適法である。