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ID番号 05743
事件名 懲戒処分無効確認等請求事件
いわゆる事件名 国鉄清算事業団(仙台鉄道管理局)事件
争点
事案概要  旧国鉄時代に交番検査のやり方に抗議して、約一四分間勤務を欠いたこと等を理由として戒告の懲戒処分等を受けた労働者が、清算事業団を相手として、右戒告処分の無効確認等を求めた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
日本国有鉄道法31条1項
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 処分無効確認の訴え等
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務命令拒否・違反
裁判年月日 1990年12月26日
裁判所名 仙台地
裁判形式 判決
事件番号 昭和61年 (ワ) 767 
裁判結果 棄却
出典 労働判例576号11頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-処分無効確認の訴え等〕
 労働基準法が適用される労働関係において、使用者が行った懲戒処分から生ずる種々の権利紛争につき、被処分労働者が概活的に懲戒処分無効の確認訴訟を提起することが許されている所以は、当該懲戒処分の効力の有無が判断されることによって、該処分をめぐる一切の法律上の紛争が一挙に解決される点に確認の利益が認められるからであり、この訴訟は当該紛争が継続する限り許されるところである。本件戒告処分についてこれをみるに、国鉄が原告X1に対する懲戒処分を発令したのは昭和六一年四月二一日であり、同原告が国鉄を退職しJR東日本に就職したのは昭和六二年四月一日であって、右懲戒処分発令以降国鉄を退職するまでの間、被告X1は右の期間右懲戒処分による不利益を受けたのであるから、同原告主張にかかるJR東日本における賃金格差の回復をもって訴の利益があることを根拠づけることはできないが、本件戒告処分時から国鉄を任意退職するまでの間の不利益を排除するため、右処分の効力を争ってこれの無効確認を求めることは可能とはいわなければならない。したがって、被告の本案前の抗弁は理由がない。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務命令拒否・違反〕
 原告X1は、既に当局と労働組合との間に解決がついている作業人員、作業方法について、無用の抗議をしA車検と意を通じ、点呼終了後直ちに作業に入らなければならない交検班員の就労を遅らせ、上司であるB検修助役の就労命令に従わず、他の交検班員とともに一四分間勤務を欠いたものというべく、原告X2も同様就労命令に従わず、同じ時間勤務を欠いたといわなければならない。原告X1は右抗議に関し種々抗争するが、右三に認定した事実に照らし、その主張事実は認めることができない。
 以上によると、原告両名の右所為は旧日本国有鉄道法三一条一項一号就業規則六六条三号、一五号及び一七号に該当し、被告の原告X1に対する戒告処分は同原告の行為の態様に照らし相当であり、原告両名の不法行為の主張は失当である。したがって、被告の抗弁は理由がある。