全 情 報

ID番号 05748
事件名 退職金請求事件
いわゆる事件名 塩釜缶詰事件
争点
事案概要  A会社からその子会社であるY会社へ出向後、Y会社がA会社から独立したとき、A会社を退職しY会社の従業員として勤務していた者が、Y会社を退職したのち、A会社での勤務期間をも含めてY会社に対して退職金を請求した事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法11条
民法537条
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 出向中の労働関係
賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算
裁判年月日 1991年1月22日
裁判所名 仙台地
裁判形式 判決
事件番号 昭和60年 (ワ) 742 
裁判結果 一部認容,一部棄却(控訴)
出典 労働民例集42巻1号1頁/タイムズ771号145頁/労働判例604号76頁/労経速報1465号12頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-出向中の労働関係〕
〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕
 右認められる事実によれば、昭和五三年九月三〇日に被告がA会社から独立する際、A会社と被告との間で、A会社から被告に出向していた者のうち、以後被告の社員として勤務することを希望した者については、その退職金のうちA会社で勤務していた期間に相当する部分はA会社が、被告で勤務していた期間に相当する部分は被告がそれぞれ負担することにし、その合計額を被告から被告を退職する際に当該社員に支払う旨の合意があったものと認めるのが相当である。
 なお、右合意はA会社と被告との間のものであり、これにより直ちに原告が被告に対する退職金相当額の請求権を取得するものとはいえないが、右合意は退職金の支払を受けるについて利益を有する原告のために行われたものであるから、民法五三七条以下の定めるいわゆる第三者のためにする契約にあたるものであると解されるところ、原告は昭和六〇年五月二五日ころ、被告に対し右金額を含め退職金を支払うよう請求しているのであるから(被告はこれを明らかに争わないので、自白したものとみなす。)、原告はこれにより被告に対し民法五三七条二項の意思表示をしたものということができ、結局、原告は被告に対し、右六一二万二三二五円の支払請求権を有するものというべきである。