全 情 報

ID番号 05752
事件名 労災保険休業補償給付不支給処分取消請求事件
いわゆる事件名 東大阪労働基準監督署長(精魁堂)事件
争点
事案概要  北海道への出張中に発症した動脈瘤(くも膜下出血)につき、業務災害でないとした労働基準監督署長の処分が争われた事例。
参照法条 労働基準法施行規則35条
労働基準法施行規則別表1の2第9号
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等
裁判年月日 1991年2月25日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 昭和63年 (行ウ) 5 
裁判結果 棄却
出典 労働判例590号69頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕
 (1)及び(2)から判断すると、本件出張中においては運転業務を除いては日常業務と比較して〔重い業務〕があったとは認められない。また、運転業務についても、天候、道路状況に対する習熟度及び往路は一・四トンもの製品を積んで運行していたこと等からすると、それが精神的、肉体的に疲労を伴うものであったことは否定できないが、運転は概略昼間になされていること、走行距離と走行時間から考えてかなりゆとりをもった運転であること、日数的に連続した運転は行われていないことを併せ考えると、日常業務と対比して質的差異をもたらすほど過重な業務であったと認めるのは困難である。さらに、帰路のフェリー内を別にすれば、日程的にも宿泊環境等についても疲労の回復を妨げるような外的要因があったとは認められない。〔中略〕
 1及び2とA病院の担当医師もまた本件疾病の発生には精神的、肉体的因子の関与も否定できないが明確な因果関係はないとしている(〈証拠略〉)ことを併せ考えれば、亡Bの本件出張中の過重な業務が同人に血圧の急激な上昇をもたらし、その結果、同人の紡錘状脳動脈瘤の破裂を招来したと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。
 以上によれば、亡Bの業務と本件疾病の発生との間に相当因果関係を認めるのは困難であるから、本件疾病は業務に起因することが明らかな疾病とはいえない。