全 情 報

ID番号 05849
事件名 雇用関係存在確認等請求事件
いわゆる事件名 ザ・チェース・マンハッタン・バンク事件
争点
事案概要  業績不振で出向先会社が閉鎖され、取締役の任期が満了する日をもって解雇された者がその効力を争った事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法89条1項3号
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 企業解散・事業の一部廃止・会社制度の変更
裁判年月日 1992年3月27日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成1年 (ワ) 10444 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 労働民例集43巻2・3号503頁/時報1425号131頁/タイムズ788号180頁/労経速報1460号3頁/労働判例609号63頁
審級関係
評釈論文 小川美和子・ジュリスト1056号163~165頁1994年11月15日/土田道夫・判例評論411〔判例時報1449〕209~213頁1993年5月1日
判決理由 〔解雇-解雇事由-企業解散・事業の一部廃止・会社制度の変更〕
 被告は、訴外会社のリース事業について、その収支状況が芳しくなく、将来的にも大きな利益を期待することができないとの判断をしてこれからの撤退を決定したことが、前記の認定によって明らかである。もっとも、リース事業の開始から撤退決定までの期間が約二年足らずであることを考えると、いかにも短期間であって、やや性急との印象を与えることは否定できない。しかし、もともと、ある事業を継続するか、廃止するか、廃止するとして事後処理をどのようにするかは、その事業について決定する権限のある者が専権的に決定しうるところであるから(原告の代表取締役としての地位及び待遇との対比からすると、既存のリース契約の管理に必要な業務が残っている限りは、原告にこれを担当させるべきであるともいえない)、訴外会社のリース業からの撤退に右のような問題があり、その結果として、訴外会社或いは被告に対する取引先からの信用に影響があり得ないではないとしても、これは別論であって、訴外会社からの原告の追出しを図ったなどの著しく不当な決定であることを認めるべき事情もない。以上、訴外会社における原告の前提となっている本件雇用契約に基づく解雇の判断に影響を与えることはないものと解される。〔中略〕
 被告が、訴外会社のリース事業からの撤退に伴い、そのゼネラル・マネージャーの前提となっている本件雇用契約を終了させるために、原告に対して解雇の意思表示をしたことは相当であって、解雇権の濫用ということはできない。