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ID番号 05954
事件名 転補処分取消請求控訴事件
いわゆる事件名 島根県(町立中村小学校)事件
争点
事案概要  小学校校長に対する転補処分を適法とした原判決が維持された事例。
参照法条 地方教育行政の組織及び運営に関する法律38条1項
地方教育行政の組織及び運営に関する法律39条
体系項目 配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令の根拠
配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の限界
配転・出向・転籍・派遣 / 配転命令権の濫用
裁判年月日 1991年5月31日
裁判所名 広島高松江支
裁判形式 判決
事件番号 平成2年 (ネ) 30 
裁判結果 控訴棄却
出典 労働判例593号42頁
審級関係 一審/松江地/平 2. 3.30/昭和62年(行ウ)3号
評釈論文
判決理由 〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令の根拠〕
〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の限界〕
〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の濫用〕
 昭和六二年度定期人事異動期には、控訴人は、島後地区小学校一三校の校長の中で、ただ一人現任校の勤務が七年に及ぶ永年勤続者であり、全県下に適用されるべく県教委の定めた前記人事異動方針細則によっても異動対象者の筆頭にあったもので、控訴人がA小学校からの転補人事を受けたことに不合理な転補は一切存しない。そして、島後教育委員会所管の一三校の小学校のうち、昭和六二年度の定期人事異動期に確実に校長職が空くのは、校長が定年退職するB小学校のみであった。B小学校は、控訴人が転補を希望する西郷町の中心部に位置する学校であったが、日本学校体育研究連合会、島根県学校体育研究連合会主催の島根県保健体育優良学校を目指して全校的な取組をしている学校であり、それまでの同校の学校経営の経過や実情に照らし、同校に控訴人を転補した場合にはA小学校と同様に控訴人の対外競技等の精選活動を理解しない保護者との軋轢により混乱を招くことが具体的に予想できた。そこで、県教委は、B小学校校長の後任に都万村立C小学校のD校長(現任校勤務が五年になり、年齢は控訴人と同じ。)を、また、その後任にE小学校のF校長を各転任させ、E小学校の校長に控訴人を転補するのが適材適所の原則に合致するものと判断したものである。前示のとおり、本件転補処分が隠岐郡の小・中学校校長人事としては少数に属する形態であったこと、これまでの人事異動ではA小学校の校長は少なくとも同規模以上の学校へ配置替えされていることを考慮しても、本件転補に至る前示一連の経過に、E小学校の所在地、その規模、控訴人の学校制度上の地位、待遇に変更がないこと等を総合勘案すると、本件転補処分が人事権を濫用したものとはとうていいえない。