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ID番号 06120
事件名 継続任用拒否処分取消等請求控訴事件
いわゆる事件名 名古屋市立菊井中学校事件
争点
事案概要  本務欠員補充教員としての中学校教員に対する年度途中における任用更新拒否が適法とされた事例。
参照法条 地方公務員法22条2項
労働基準法2章
国家賠償法1条
体系項目 解雇(民事) / 短期労働契約の更新拒否(雇止め)
裁判年月日 1991年2月26日
裁判所名 名古屋高
裁判形式 判決
事件番号 昭和64年 (行コ) 1 
裁判結果 破棄自判
出典 労働判例587号57頁/判例地方自治83号43頁
審級関係 上告審/06035/最高三小/平 4.10. 6/平成3年(行ツ)86号
評釈論文 白井皓喜、熊谷達朗・判例地方自治93号7~9頁1992年4月
判決理由 〔解雇-短期労働契約の更新拒否(雇止め)〕
 本務欠員補充教員の職務の性質に徴すると、右教員の職を前記地公法二二条二項所定の「臨時の職に関する場合」及び任用規則三九条二号所定の「当該職が臨時的任用を行う日から一年以内に廃止されることが予想される臨時のものである場合」に該当すると見ることには疑問がないとは言えず、控訴人において、相当数を擁する本務欠員補充教員の採用のすべてを地公法二二条二項に基づく臨時的任用の形式によって行ってきたことには、先に見た本務欠員補充教員の職務内容、学校教育における地位・役割及び右任用形式を採用した理由等に鑑みると、幾分無理のあったことは否定できないところである。そして、右に見た被控訴人の臨時的任用に関する従前からの経緯等に照らすと、被控訴人において、本件臨時的任用についても更新が行われるものと期待したこと自体にもそれなりの理由があったと言えなくはない。
 しかしながら、そもそも本件臨時的任用は、前記のとおり、地公法二二条二項に基づき期間を六か月と定めて行われたものであるから、右期間の満了により被控訴人の臨時的任用職員としての地位は当然に失われるものであり、また、一回に限って認められている更新もまた臨時的任用にほかならないから、当該職員である被控訴人の側から更新を求める権利はなく、任命権者に更新すべき義務を認めることもできない。したがって、被控訴人が、従前の経緯等から本件臨時的任用に際して更新がなされるものと期待していたとしても、それは単なる希望的観測とでもいうべきものに過ぎず、法的に保護された権利又は利益とは認められない。