全 情 報

ID番号 06126
事件名 地位保全等仮処分命令申立事件
いわゆる事件名 電気工事会社(女子従業員地位保全申立)事件
争点
事案概要  勤務時間の不遵守、会社代表者の誹謗、社内での口論等を理由とする解雇につき、解雇権濫用にあたるとされた事例。
参照法条 労働基準法2章
民法1条3項
体系項目 解雇(民事) / 解雇事由 / 勤務成績不良・勤務態度
解雇(民事) / 解雇権の濫用
裁判年月日 1993年3月8日
裁判所名 大阪地
裁判形式 決定
事件番号 平成4年 (ヨ) 2218 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例628号40頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔解雇-解雇事由-勤務成績不良・勤務態度〕
〔解雇-解雇権の濫用〕
 7 以上によると、債務者主張の解雇事由のうち、疎明資料から一応存在が認められるのは、勤務時間の不遵守の点及び他の従業員に対する債務者代表者等を誹謗する言動の点並びに社内での個人的口論の点ということになる。
 そこで、これらの点が、社会通念上解雇を相当とする事由となるかについて検討すると、疎明資料によると、これらの事情が、債務者の他の従業員の士気に少なからず影響し、職場の人間関係を混乱させていることがうかがわれ、特段の事情がない限り、これにより解雇も止むなしと判断したとしてもあながち不合理とまでは言い切れないところがある。しかしながら、他方、本件においては、債権者と債務者代表者とが一時男女関係にあったという特殊な事情があり、その解消に至る経過において債権者が債務者代表者に対し相当な不満を抱いていたことから、両名間に感情的なもつれがあって、これが、右にみるような債権者の態度に表れていることがうかがわれ、この点については、債務者代表者にも責任の一端があることは否定できない。もとより、かような私的怨恨を職場に持ち込むことは職業人たる者の態度としては容認しにくいところではあるが、債務者の如き小規模な事業所においては、このような感情的不満が表面化するのを避けるのは困難であると思われ、この点、債権者の心情にも酌むべき面がないとはいえない。かような状況のもとで、右のような事態を招くに至った責任の一端を負うべき債務者代表者が、これを理由に債権者を解雇することは、経営者として信義にもとるきらいがないではなく、ことに前回の仮処分事件において、当事者間に前記のような和解が成立している以上は、当事者双方ともに、右和解の趣旨に則り正常な関係を回復するため誠実に努力すべきであるにもかかわらず、その後、さしたる事情の変化も認められないのに、債権者を右和解のわずか三か月後に解雇したことは相当とはいい難い。以上の事情を総合するならば、現段階においては、本件解雇は、解雇権の濫用にあたるものとして、無効と言わざるを得ない。