全 情 報

ID番号 06145
事件名 報酬不存在確認本訴請求/歩合給料支払反訴請求事件
いわゆる事件名 国土リアル・エステート事件
争点
事案概要  歩合給としての報酬支払請求につき、和解契約をしており、その意思表示は自由な意思に基づいており有効とされた事例。
参照法条 労働基準法24条1項
民法519条
体系項目 賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 全額払・相殺
賃金(民事) / 賃金の支払い原則 / 賃金債権の放棄
裁判年月日 1993年5月26日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成4年 (ワ) 4396 
平成4年 (ワ) 7841 
裁判結果 棄却、却下(確定)
出典 労働民例集44巻3号506頁/労働判例631号13頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金の支払い原則-全額払〕
〔賃金-賃金の支払い原則-賃金債権の放棄〕
 (三) 被告は、右和解契約による右報酬支払債権の放棄は、賃金債権の放棄に当たるので、労働基準法二四条一項に違反し、無効である旨を主張する。しかし、賃金債権を放棄する意思表示は、それが自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは有効であると解すべきところ(最高裁昭和四四年(オ)第一〇七三号同四八年一月一九日第二小法廷判決・民集第二七巻一号二七頁)、証人Aの証言及び被告本人尋問の結果によれば、被告は、原告会社との間の雇傭関係終了の約七か月後に右和解契約を締結したものである上、当時復職の意思も全くなく、したがって、原告会社又は原告Xとの間の雇傭関係に基づく従属的立場にない状態で右契約を締結したものであること、被告は、原告両名に対する債権放棄の意思表示をする対価として一五〇万円の交付を受けたこと、右契約締結のための交渉は、被告と原告両名の代理人である右Aとの間でされたものであるが、同人の交渉態度も格別威圧的なものではなかったことが認められ、右各事実及び前記の各証拠を総合すれば、仮に、被告が原告両名に対して賃金債権に当たる本件報酬支払債権を取得したとしても、被告が、右和解契約において、和解金一五〇万円の支払を受けることを条件として、その自由な意思に基づいて右債権を放棄したと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するものというべきであるので、被告の右主張も採用することができない。