全 情 報

ID番号 06163
事件名 未払賃金等請求事件
いわゆる事件名 黒川乳業事件
争点
事案概要  大喪の礼の日を休日にし、土曜日の指定休日を出勤日にする休日の振替は適法であり、思想・信条を侵害する不法行為にはあたらないとされた事例。
参照法条 労働基準法35条
民法709条
体系項目 休日(民事) / 休日の振替え
裁判年月日 1993年8月27日
裁判所名 大阪地
裁判形式 判決
事件番号 平成1年 (ワ) 7219 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1511号3頁/労働判例643号64頁
審級関係
評釈論文 名古道功・法律時報66巻12号110~113頁1994年11月
判決理由 〔休日-休日の振替え〕
 労基法は、使用者は労働者に対し、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならず、その休日の与え方として四週間を通じて四日以上の休日を与えることをもって足りる旨を規定している(三五条一、二項)ところ、右認定の事実によると、被告会社においては、就業規則において、毎週日曜日を休日と定めており、右をもって労基法に定める休日の要件は充足しているものということができる。ところで、本件において問題とされる本件休日は、労基法三五条一項所定の休日以外の休日であることは明らかであるところ、休日の法的効力が労働義務の免除であり、これをもって労働者に何らの不利益を与えるものでないことを考慮すると、使用者は、労働者の同意がなくとも休日を定めることができるものというべきである。そして、被告会社は、平成元年二月二四日が大喪の礼休日法によって休日とされたことや他の会社や組織体がこれを受け入れていること、被告会社の得意先である学校や喫茶店などがほとんど休みであること等を考慮して本件休日を決定したものであり、その措置は妥当なものであって、何ら従業員が有する法的保護に値する利益を侵害するものではない。もっとも、原告らは、大喪の礼休日法が違憲無効であることを根拠に本件休日を定めるべきでないと主張をしているようであるが、被告会社が右のような事情から本件休日を決定している以上、大喪の礼休日法が合憲かどうかは、本件休日の決定の効力を左右するものではなく、原告らの右主張は採用し難い。なお、休日についての定めは、その明確性・特定性の要請から就業規則等においてなすのが相当であるが、本件のように当年限りの休日については、公示をもって従業員に周知させることで足り、本件休日の決定には手続的にも問題とすべき点はない。