全 情 報

ID番号 06165
事件名 損害賠償請求事件
いわゆる事件名 エイワ事件
争点
事案概要  無断欠勤等が懲戒解雇事由に該当するとされた事例。
 残業制度の改善等を求める行為は懲戒解雇事由に該当しないとされた事例。
参照法条 労働基準法89条1項9号
体系項目 懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 業務妨害
懲戒・懲戒解雇 / 懲戒事由 / 職務懈怠・欠勤
裁判年月日 1993年9月20日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成2年 (ワ) 3802 
裁判結果 一部認容
出典 労経速報1513号10頁/労働判例642号27頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-業務妨害〕
原告X1については、前記一(一)認定のように、被告会社は、同原告を「勝手に被告会社指定以外の病院で検査及び診断を受けたこと」との理由をもって懲戒解雇したものと認められるところ、右理由は、前記就業規則七九条各号所定の懲戒解雇事由のいずれにも当たらず、右理由をもって懲戒解雇することはできないと解するほかない。しかしながら、原告X1は、前記一(九)認定のように、昭和六二年六月二〇日及び同年七月六日の二度にわたって懲戒(就業規則七七条一号に定めるけん責)を受けていること、前記一(一)認定のように、同原告は、昭和六二年七月八日頃以降、予め被告会社の許可を得ることなく被告会社を欠勤しており、同月一〇日に欠勤届(〈証拠略〉)を提出したものの、就業規則三〇条に定める診断書の提出をしなかったこと、及び同原告の日頃の勤務態度に照らすと、同原告について、就業規則七九条九号、一〇号、一一号所定の懲戒解雇事由があるものと認められ、被告らが同原告を懲戒解雇したことをもって、違法性があるということはできない。
〔懲戒・懲戒解雇-懲戒事由-職務懈怠・欠勤〕
 原告X2がなした前記要求は、残業制度や労働衛生設備の改善等、それ自体正当性を欠くとはいえない要求が主たるものであり、同原告の右要求があって、被告会社では就業規則等の作成、三六協定の締結、有機溶剤作業主任者の選任等、当然なされるべきであった改善がなされたという面があることは、否定できないところである。なお、原告X2が前記要求をなすに当り、手紙や内容証明郵便の送付という方法を取り、書面による回答を求めたことについては、これにより、同原告の職務隊行に支障をきたすことをできるだけ避けるという配慮があったことが窺われるから、一概に不相当ということはできない。そうすると、原告X2については、就業規則七九条各号所定の懲戒解雇事由に該当する程の著しく不都合な行為があると認めることはできないというべきであり、同原告に対する懲戒解雇は、無効なものというべきである。