全 情 報

ID番号 06179
事件名 療養補償不支給処分取消請求事件/障害補償不支給処分取消請求事件
いわゆる事件名 金沢労基署長事件
争点
事案概要  会議中に発症した脳内出血につき、既に生じていた脳血管の変化が自然経過的に増悪し、たまたま会議中に発症したもので、業務起因性はないとされた事例。
参照法条 労働者災害補償保険法7条1項1号
労働者災害補償保険法12条の8
体系項目 労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 業務起因性
労災補償・労災保険 / 業務上・外認定 / 脳・心疾患等
裁判年月日 1993年4月16日
裁判所名 金沢地
裁判形式 判決
事件番号 平成1年 (行ウ) 4 
平成2年 (行ウ) 2 
裁判結果 棄却(控訴)
出典 訟務月報40巻3号590頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-業務起因性〕
〔労災補償・労災保険-業務上・外認定-脳・心疾患等〕
 前記一の9のとおり、原告が本件疾病を発症する直前に高血圧症であったことを示す具体的な証拠はないものの、昭和四八年から昭和五〇年ころの間高血圧傾向にあって、その後も引き続き高血圧傾向にあったものと推測されることを考え併せると、原告の業務が本件疾病を発症させたというよりも、むしろ、原告の右のような素因と、加齢により既に生じていた脳血管の変化が自然経過的に増悪し、たまたま会議中に本件発症に至ったものと見るのが相当であり、原告が従事していた業務と本件疾病との間にいわゆる条件関係が肯定されるかどうかはともかくとしても(ここにいう「条件関係」の概念、判断基準が極めて曖昧である。論者ごとに、考え方が異なるとすらいえる。被告の主張でも明らかでないし、現行基準でも、条件関係と相当因果関係の判断を峻別しているわけではないように見える。業務起因性に関する被告の主張をにわかに採用しないゆえんでもある。)、右両者の間に相当因果関係を認めることはできないといわざるを得ないところである。