全 情 報

ID番号 06201
事件名 損害賠償等請求事件
いわゆる事件名 日本管材センター事件
争点
事案概要  賞与ないしその性格を有するものを支給する約定があったとして、その支払いが命ぜられた事例。
 不当な解雇を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求につき、解雇の意思表示はなかったとして棄却された事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法24条1項
民法709条
民法710条
体系項目 労働契約(民事) / 労働契約上の権利義務 / 使用者に対する労災以外の損害賠償
賃金(民事) / 賞与・ボーナス・一時金 / 賞与請求権
裁判年月日 1993年8月31日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成4年 (ワ) 4831 
裁判結果 一部認容
出典 労働判例638号42頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賞与・ボーナス・一時金-賞与請求権〕
 原告が被告会社に入社したのは原告の商事会社で経理の責任者としての仕事をしたいという希望と被告会社の経理責任者を雇用したいという希望とが偶々合致したことによるものであって、このようなことから、被告会社代表者A(以下、「A社長」という。)は、原告の雇用については原告の希望に副った条件を受け容れた。これを給与に関してみるに、原告がそれまで勤務していたB株式会社の年間給与総支給額七七〇万円を上回る八〇〇万円とし、賞与のうちの同年度分については、前職に留まれば支給を受けることができるのに被告会社に転職したために勤務期間が短いということで支給されないのは困るという原告の要望を容れて同年一二月に一三六万円を支給する旨を約した。但し、A社長は、その際、支給名目については、被告会社の給与規定上賞与として支給することのできないことを慮って支度金等の名目となることもある旨を述べた。ところが、原告は、賞与の支給日である同年一二月一二日、三〇万円の支給を受けたのみで約定どおりの支給を受けられなかったので、その頃、A社長に約定どおりの支給を求めたところ、これに対しA社長は、同年一二月末までに一〇〇万円を支給する旨約したので、原告はこれを承諾した。
 右認定事実によると、被告会社は原告に対し、同年一二月末までに月々の給与とは別に、賞与ないしこの性格を有するものとして一三〇万円を支給することを約したことを認めることができる。
〔労働契約-労働契約上の権利義務-使用者に対する労災以外の損害賠償〕
 解雇の意思表示の存否について
 本訴においては原告の主張する解雇の意思表示の存在を裏付ける書証はなく、この存在を裏付ける証拠としては原告の供述のみである。
 なるほど、A社長が原告の経理責任者としての勤務態度及び能力に不満を抱き、平成四年一月六日の幹部会かリーダー会議の開始に先立ち、原告に対し、原告が前年の一二月二七日のいわゆる仕事納めの日に部下が午後一〇時ころまで残業をしていたのに午後六時ころ退社してしまったことに立腹していたこともあって、同会議に出席することを差止めたことはあった(A社長の供述)が、同日、A社長から被告会社としては原告を必要とはしないので一月末までに退職して欲しい旨言われたとの原告の供述は、A社長の供述(原告に解雇する旨言ったことはなく、原告には勤務態度を改めるように注意し、他の部署に移動してもらうかも知れない旨述べたとの供述)と対比してにわかには信用することができない。仮に、A社長が原告の供述するとおりのことを述べたとしても、同供述は、原告に退職することの希望ないし勧告をしたにとどまるとの趣旨に解することもできるのであって、これをもって原告に対する確定的な解雇の意思表示をしたものと解することは困難である。そして、他に被告会社が原告に対し、原告の主張する解雇の意思表示をしたことを認めるに足りる証拠はない。