全 情 報

ID番号 06213
事件名 給料請求事件
いわゆる事件名 菱電運輸事件
争点
事案概要  給与制度改訂に伴い二部の短期大学卒業の者には勤続給は支給されない趣旨とされた事例。
参照法条 労働基準法2章
労働基準法24条1項
体系項目 賃金(民事) / 賃金請求権の発生 / 賃金の計算方法
裁判年月日 1993年10月26日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成5年 (ワ) 3344 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1515号14頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-賃金請求権の発生-賃金の計算方法〕
 本件で問題となっている資格制度及び賃金制度に関する協定の改訂の主な内容は、資格制度については、職種及び資格等級を見直し、管理職まで含めた職務系統別資格区分と資格等級昇格考課基準を明確にし、賃金制度については、賃金体系を変更して属人給と属務給との区分を明確にするとともに、計算方法を乗算方式から加算方式に変更したことにあり、このうち、賃金体系については、基準賃金を、改訂前は、本給、資格給、補正給及び生計手当によって構成されていたが、改訂後は、基本給、資格給、補正給及び生計手当によって構成することとなった。そして、基本給の一要素である勤続給は、原則として入社後の勤続年数によって決定されるが、就学したことによって被る勤務上の不利益を救済するため、特例として、「大学・短大等の学校新規卒業者の勤続給は、高卒後(一九歳)の通常就学年数を勤続年数とみなし算出する」と定められた。
 このようなことから、就学と勤務とが両立し、勤務年数の面で影響を被らない場合(例えば、二部の大学、短大に就労した場合)には、特例の適用を受けないとされた。
 原告にあっては、資格については、「現行資格の新資格移行基準」に基づき、昭和五〇年三月末現在の資格が四級一年次であったので、四級三年次に格付けされた。そして、基本給のうち、勤続給については、原告は、昭和四四年一〇月入社でその勤続年数は五年以上六年未満であったので、五〇〇〇円となり、原告の学歴は二部の短大卒であったので、勤続給の特例対象とはならなかった。