全 情 報

ID番号 06219
事件名 債務不存在確認等本訴請求事件
いわゆる事件名 アイ・ビイ・アイ事件
争点
事案概要  子会社・関連会社に出向した従業員が出向元に退職金を請求したのに対して、子会社・関連会社に出向した従業員に支払われる退職金は各々の勤続期間に比例して各社が負担するとの合弁契約における退職金負担条項の意味が争われた事例。
参照法条 労働基準法11条
労働基準法3章
労働基準法115条
体系項目 賃金(民事) / 退職金 / 退職金請求権および支給規程の解釈・計算
雑則(民事) / 時効
裁判年月日 1993年11月26日
裁判所名 東京地
裁判形式 判決
事件番号 平成3年 (ワ) 14170 
平成3年 (ワ) 17931 
裁判結果 棄却
出典 労経速報1515号24頁/労働判例647号64頁
審級関係
評釈論文
判決理由 〔賃金-退職金-退職金請求権および支給規程の解釈・計算〕
 本件退職金負担条項は、被告の従業員が原告会社に出向して退職した場合の退職金支給につき、この計算方法、最終的な負担者及び割合を定めている。〔中略〕
 本件退職金負担条項は、原告会社設立前の本件合弁契約において定められたものの、原告会社設立後代表取締役に就任した被告代表取締役Aは、原告会社設立後は原告会社と被告との関係をも律することとなることは当然のことと認識していたというのであるし、原告会社の設立後取締役に就任したB、Cは、いずれも本件合弁契約の当事者であり、他に取締役に就任したDら取締役も本件退職金負担条項を知っていたというのである。
 してみると、本件退職金負担条項は、原告会社と被告との全役員の間においても原告会社と被告とを律するとの認識であったものと推認され、原告会社設立後にあっては、原告会社と被告との間に本件退職金負担条項と同旨の合意が成立したものと認められる。
 してみると、原告会社と被告との間には本件退職金負担条項と同内容の合意がなされたということができる。
〔雑則-時効〕
 被告は、原告Xが被告を退職した後同原告からの退職金支給に関する問い合わせに対し、昭和六二年一二月二一日付このころ到達の書面をもって、原告会社に出向した期間を除いた在職期間中の退職金として二九一万円を支払う旨の通知をしたが、これに対し同原告は、同月二六日付の書面をもって、退職の事実はないこと、仮に退職したというのであれば業務上の都合による退職金を請求する旨の回答をしたものの、これ以降はE退職金訴訟の帰趨を見守っていただけであることを認めることができる。そして、同原告は、右同日から二年間の経過した平成元年四月一四日までの間に時効の中断事由について何ら主張・立証していない。
 したがって、本件退職金請求権は同日をもって時効により消滅したこととなる。