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ID番号 06452
事件名 不当労働行為救済命令取消請求事件
いわゆる事件名 高知県観光事件
争点
事案概要  併存組合下において、申立組合との間で新勤務シフトを前提とする三六協定の締結を拒否して、申立組合の組合員の時間外労働を禁止している行動が不当労働行為に当たるとした原審につき、労働組合法一号及び三号の解釈を誤った違法があるとして取り消された事例。
参照法条 労働基準法36条
労働組合法7条1号
労働組合法7条3号
体系項目 労働時間(民事) / 時間外・休日労働 / 時間外労働、保障協定・規定
裁判年月日 1995年4月14日
裁判所名 最高二小
裁判形式 判決
事件番号 平成5年 (行ツ) 141 
裁判結果 一部破棄差戻,一部上告棄却
出典 時報1530号132頁/タイムズ878号127頁/労経速報1570号3頁/労働判例679号21頁
審級関係 控訴審/高松高/平 5. 6.22/平成3年(行コ)4号
評釈論文 吉田肇・判例タイムズ913号354~355頁1996年9月25日/高島良一・経営法曹113号22~38頁1996年5月/相澤直子・九大法学〔九州大学〕73号181~200頁1997年3月/渡辺章・判例評論448〔判例時報1561〕218~223頁1996年6月/唐津博・民商法雑誌114巻1号171~179頁1996年4月/道幸哲也・平成7年度重要判例解説〔ジュリスト臨時増刊1091〕198~200頁1996年6月/道幸哲也・法律時報68巻10号100~103頁1996年9月
判決理由 〔労働時間-時間外・休日労働-時間外労働、保障協定・規定〕
 申立組合の結成後において、上告人が申立組合及びその組合員に対して行ってきた前記認定のその他の行為を考慮しても、右(一)ないし(三)に指摘したところによれば、上告人が申立組合との間の団体交渉において、前記のような主張をした主な意図が申立組合の団結権の否認ないし弱体化にあり、右団体交渉が、申立組合の組合員が時間外労働を禁止されているという既成事実を維持するために形式的に行われたものであると断定するには足りないものといわざるを得ない。そうすると、上告人が、申立組合との間で新勤務シフトを前提とする三六協定の締結を拒否して、申立組合の組合員の時間外労働を禁止している行為が不当労働行為に当たるとした原審の判断には、労働組合法七条一号及び三号の解釈を誤った違法があり、その違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。この点の違法をいう論旨は理由があり、原判決のうち、本件救済命令の別紙記載部分に関する部分は、その余の論旨について判断するまでもなく破棄を免れない。そして、前記説示によれば、本件救済命令の右部分は、違法として取消しを免れないものというべきであるから、第一審判決のうち、本件救済命令の右部分の取消しを求める上告人の請求を棄却した部分を取り消し、本件救済命令の右部分を取り消すこととする。