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ID番号 06896
事件名 葬祭料不支給決定処分取消請求事件
いわゆる事件名 姫路労働基準監督署長事件
争点
事案概要  複数の事業を行っていた事業主が労働者災害補償保険法二八条に基づく特別加入の承認を受けていたとしても、労働者を使用することなく行っていた重機の賃貸業務については、労働者に関して保険関係が成立していないといわざるを得ないため、同法に基づく保険給付を受けることはできないとした事例。
参照法条 労働者災害補償保険法27条
労働者災害補償保険法28条
体系項目 労災補償・労災保険 / 労災保険の適用 / 特別加入
裁判年月日 1997年1月23日
裁判所名 最高一小
裁判形式 判決
事件番号 平成7年 (行ツ) 24 
裁判結果 棄却
出典 時報1593号127頁/タイムズ931号137頁/労働判例716号6頁/裁判所時報1188号1頁
審級関係 控訴審/大阪高/平 6.10. 6/平成5年(行コ)51号
評釈論文 西村健一郎・月刊ろうさい49巻5号4~7頁1998年5月/西村健一郎・社会保障判例百選<第3版>〔別冊ジュリスト153〕112~113頁2000年3月/中内哲・平成9年度重要判例解説〔ジュリスト臨時増刊1135〕212~214頁1998年6月
判決理由 〔労災補償・労災保険-労災保険の適用-特別加入〕
 労働者災害補償保険法二七条一号所定の事業主の特別加入の制度は、労働者に関し成立している労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)を前提として、右保険関係上、事業主を労働者とみなすことにより、当該事業主に対する同法の適用を可能とする制度である(労働者災害補償保険法二八条)。原審の適法に確定した事実関係等によれば、Aは、土木工事及び重機の賃貸を業として行っていた者であるが、その使用する労働者をAが建設事業の下請として請け負った土木工事にのみ従事させており、重機の賃貸については、労働者を使用することなく、請負に係る土木工事と無関係に行っていたというのである。そうであれば、同法二八条に基づきAの加入申請が承認されたことによって、その請負に係る土木工事が関係する建設事業につき保険関係が成立したにとどまり、労働者を使用することなく行っていた重機の賃貸業務については、労働者に関し保険関係が成立していないものといわざるを得ないのであるから、Aは、重機の賃貸業務に起因する死亡等に関し、同法に基づく保険給付を受けることができる者となる余地はない。したがって、Aが業務上死亡したものとは認められないとした原審の判断は、説示中に適切を欠く部分があるが、結論において是認することができる。諭旨は、原判決の結論に影響を及ぼさない部分についてその違法をいうに帰し、採用することができない。